渥美清さんの目にとまり映像でも活躍

 舞台だけでなく映像でも長く活躍する。 '80年代に映画『男はつらいよ』シリーズやドラマ『花へんろ』への出演は、渥美清さんの存在があった。

「僕の舞台を見に来てくださっていて、ひとりだけ笑っていないお客さんがいて、それが渥美さんでした(笑)。でも面白いと思ってくれて『男はつらいよ』や、渥美さんと親交のあった脚本家の早坂暁さんの『花へんろ』にも呼んでもらえたのかなと思います」

『花へんろ』での靴修理の店主、花井院長役は、舞台との違いを実感するきっかけになった。

「早坂さんの役の説明が印象的でした。実在のモデルがいて、その方は社会運動に傾倒していて漢字の楠を〇で囲んだ看板を掲げていたとか、人も靴も壊れるから院長と名乗るとか役について魅力的に話されて気持ちが動かされました。しかも主役の桃井かおりさんはじめステキな役者さんが出演している。

 NHKの名物ディレクターには、顔を作るなと叱られましたよ(笑)。役作りでやったけど、そのときに舞台とは違うなと。映像は素を撮って演出してキャラクターができあがる。(自分で)作り込まないほうがいいと思いました」

コロナ感染予防のためマスクをして稽古中。18日から本番が始まる(撮影/星野麻美)
コロナ感染予防のためマスクをして稽古中。18日から本番が始まる(撮影/星野麻美)
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 以降、映画やドラマのバイプレーヤーとしてオファーは絶えない。近作でもドラマ『石子と羽男−そんなコトで訴えます?−』の裁判官の厳格な父親役、『PICU小児集中治療室』では誤診の過去を抱えた老医師役と少ない出演シーンでもインパクトを残している。

尾形はやりすぎ、作りすぎ、浮いているとつい最近まで言われていましたよ(笑)