あの子には死んでほしいと願っている

「腎臓を患っていて、いま人工透析をしているんです。私のほうも、膝が悪くてね。あの子にはことあるごとに“親がいつまでも元気だと思っていたら、大間違いだから”と口を酸っぱくして言っていたんですけど。こんなことを親が言ってはいけないんでしょうが、あの子には死んでほしいと願っているんです」

 母親の苦しみがひしひしと伝わってきた。

 子どもの頃の容疑者は明るい性格で、社交的だから友人も多かったという。

「高校ではサッカー部に入っていて、頑張っていましたよ。高校卒業後、就職したのですが2年ぐらいで辞めてしまって……。その後は定職に就かず、アルバイトを転々としていた。もちろん、ずっと独身です。いま考えると、中学校時代にいじめにあっていると聞いたことがあったので、そのせいかもしれない」(父親)

 母親に小遣いをせびっていたこともあったという。

「お父さんに隠れて、5000円とか1万円を渡していました。あの子は給料が入ると、気持ちが大きくなって、ほとんど酒も飲めないのに、友だちにおごってしまうところがあってね」(母親、以下同)

 一度も家にお金を入れたことがなかった容疑者。

「50歳手前にもなって、まだ子どもなんです。将来の設計もまったくできない子。親が悪いと言われるでしょうが、これでも結構、小言は言ってきたつもり。そのたびにあの子は“ウルせえ”って」

 被害者の痛みはもちろんのこと、両親の悲痛な叫びも容疑者には届かないのか。