1990年代に入ると、流れが変わる。情報番組や教養番組の出演者として頭角を表す。頭の回転が速く、アドリブが利き、笑顔を絶やさないからハマった。

転機となった『オールスター感謝祭』

 転機となったのは1991年に『クイズ!当たって25%』(TBS系)の司会に引退した島田紳助さん(66)とともに起用されたこと。この番組こそ同時期に始まり今も続く特番『オールスター感謝祭』(TBS系)の原型だ。出題方法や「アンサーチェック!」などの掛け声も一緒。『オールスター感謝祭』によって島崎の仕切りのうまさが広く知らしめられた。

 ちなみに『オールスター感謝祭』の最近の放送は10月1日。約5時間半の長丁場ながら、民放が最も重視するコア視聴率(個人視聴率の13歳~49歳分)は5.4%で横並びトップ。全年齢での個人視聴率も6.1%でトップだった(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。島崎の貢献は大きい。

 現在の地上波でのレギュラーは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)と『人生最高レストラン』(TBS系)の2本。それだけではない。11月はゲスト出演も合わせると実に計26本もテレビに出る。超がつくほど売れっ子だ。

 そのうえ来年は注目度がさらにアップするはず。同4月から始まるNHK連続テレビ小説の次回作『らんまん』に主要出演陣の1人として登場するからである。

高知が舞台の朝ドラ『らんまん』出演でさらに飛躍

 この作品の主人公は江戸時代末期に土佐藩で生まれた天才植物学者・槙野万太郎で、神木隆之介(29)が演じる。モデルは高知県佐川町生まれの「日本の植物学の父」牧野富太郎だ。

 島崎の役柄は明治期に高知県内の自由民権運動を後押しした楠野喜江。島崎自身、同県南国市生まれで中学卒業まで住んでいたから、方言指導を受けなくて済む。

 まだある。高知の女性は「はちきん」と呼ばれる。意味は「男勝りの女性」「行動的で気性のさっぱりした女性」だ。島崎のイメージとぴったり重なるのである。ちなみに島崎は「高知県観光特使」など数々の名誉職を務めており、同県の顔だ。

「演技力は大丈夫?」との声も上がりそうだが、全く心配ない。朝ドラは遠野なぎこ(43)がヒロインを務めた『すずらん』(1999年度前期)で経験済み。ヒロインの義姉という重い役どころだったものの、好評を博した。

 福山雅治(53)が主人公の坂本龍馬に扮したNHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)にも出ていた。龍馬の義姉・坂本千野役だ。やはり好演した。これも高知のドラマだった。

 そもそも島崎はアイドル歌手としてデビューする4か月前からドラマに出た。女優デビューのほうが先なのである。その作品は1989年1月からの冬ドラマ『こまらせないで!』(フジテレビ系)。役柄は荻野目洋子(53)が演じた主人公の探偵に付きまとう女子高生役だった。

 同年7月から12月までは伝説の子ども向け特撮ドラマ『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(フジテレビ系)に出演した。なんと主演である。当時16歳。無謀とも言える起用だった。そのころの演技力は……ほぼ演技未経験の割には堂々としていた。物怖じしてなかった。

 役柄は中華魔女の見習い。よく分からない設定だった。悪と戦う頼もしいお姉さんを演じた。ストーリーも大人には理解不能だったものの、子どもには人気があった。現在の30代後半から40代に島崎信者が特に多いのは、この作品の影響があるに違いない。

 当時と現在の島崎を見比べてみると、あんまり変わっていない。やや貫禄と迫力が備わったと思える程度。いい年の取り方をしたからだろう。中にはアイドル時代とは別人のようになってしまう人もいる。

 島崎の快進撃はまだ続くはずだ。

取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。