日常でも関西弁を耳にする機会は多く、いわゆるZ世代の若者たちの間では関西弁風のことばがより肯定的に広がっているようだ。では、なぜこれほど関西弁が広がっているのだろうか。国立国語研究所で日本語を研究している鑓水兼貴さんにお話を聞いた。

「こういったことばの流行を見ていると、たしかに関西弁が日本中に広がっていると思えるかもしれません。ただし、大前提として、日本中でことばの“共通語化”が進んだという状況があります。もともとその土地で使われていた“方言”に対して、“共通語”は日本中どこでも通じることばを指します。教育やメディアなどで使われる標準的なことばとして、東京で話されていたことばを基準にした“共通語”が全国的に広く普及した現状がまずあって、そのうえで日常のくだけた表現として関西弁を使ってみたり、ほかの方言を取り入れたりということも行われるようになりました。そういったことばの仕入れ先のひとつとして、大都市である関西は影響力がとても大きいので、関西弁が広がっているように見えるのではないでしょうか」(鑓水さん、以下同)

 実際に関西弁から全国的に広がったことばも数多くある。近年では「めっちゃ」がその代表格といえるだろう。

「2000年ごろは東京の人がよく知っている関西弁の代表として“めっちゃ”が挙がっていました。それが2010年ごろには全国の若者に普及し、現在では“めっちゃ”が関西弁だと思わない若者も多いくらい一般的に使われることばとして定着しています」

「なんでやねん」も今や全国区に

ダウンタウン、中川家などのスター芸人の活躍もあり、関西弁は全国へと広がっていった
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 また、漫才のツッコミでおなじみの“なんでやねん”関西から日本中に広がりつつあることばのひとつだ。

「国立国語研究所の『国民の言語使用と言語意識に関する全国調査』のデータを見ると、“なんでやねん”が徐々に広がっていくようすがわかります。1920~1940年代生まれでは“なんでやねん”を使うのは主に近畿周辺の人でしたが、1950年~1960年代生まれでは首都圏でも使う人が急増し、1970~1980年代生まれになると全国的に使っていることがわかります。“めっちゃ”のように“なんでやねん”が関西弁と意識されずに使われる日もくるかもしれませんね」