詐欺罪が成立する可能性も

謝罪文の投稿後、Aさんは一部で寄せられている転売疑惑について否定した
謝罪文の投稿後、Aさんは一部で寄せられている転売疑惑について否定した
【写真】IKEAでモデルになりきるドヤ顔のAさん、商品の転売疑惑にも釈明するが

 騒動となったAさんは自社サイトを《セレクトショップ》と説明しているが、仮に自社ブランドの製品として販売していた場合には、法に触れる危険性も。

商標登録されているマークがプリントされたようなデザインを別のブランドの商品として使用した場合には、商標権違反になります。この場合にも10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられることになります。また、輸入したブランドが一定程度有名なブランドであれば、タグを付け替えて販売することが“品質等誤認惹起行為”に該当するとして、不正競争防止法に違反することになります。これに違反すると、輸入ブランドから、ブランドの信用を回復するための措置を講じるよう要求されたり、損害賠償請求されることもあります。そして、一般的に、どこのブランドの商品であるかは購入する人にとって重要であるため、刑法上、詐欺罪が成立する可能性があり、製造元のブランドの業務妨害行為として、偽計業務妨害罪が成立し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることも考えられます。もちろん、この場合にも民事上の損害賠償責任が生じます」

 海外の通販サイトの普及によって、初心者でも運営が容易になっている“転売”ビジネス。しかし、その“グレーゾーン”に潜む線引きには、十分注意しなければならない。

古藤由佳弁護士
弁護士法人・響。明治大学法科大学院卒業。東京弁護士会所属。FM NACK5『島田秀平と古藤由佳のこんな法律知っ手相』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組『news イット!』(フジテレビ系)などメディア出演も多数。民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。https://hibiki-law.or.jp/