撮影機材の発展でクイズ番組がさらに進化

 規模感と本気度に圧倒された──。そんな声を多数集めて3位にランクインしたのは、『アメリカ横断ウルトラクイズ』('77〜'98年 日本テレビ系)。「クイズ番組でありながら旅番組のような要素もあって楽しい」(千葉県・41歳女性)、「今じゃとてもできそうにない。クイズのみではなく、人間ドラマもあった」(滋賀県・55歳男性)

3位『アメリカ横断ウルトラクイズ』

 日本のクイズ番組史上、もっともスケールが大きく、ドラマチックなクイズ番組だろう。

「『アップダウンクイズ』の優勝賞品がハワイ旅行と先述しましたが、14年後に始まった『ウルトラクイズ』では、ハワイは通過点になった。日本がさらに豊かになった証左です」と大門さんは語りつつ、「カメラをはじめ機材の小型化が進んだことで、ロケ型のクイズ番組が可能になった」と同番組の裏側を教える。

「『ウルトラクイズ』といえば、ハット型の早押しボタンも特徴的ですが、これが生まれたのには理由があります。屋外だと日差しが強く、ボタンを押してもパトランプが光っているのかわからない。そこで視認できるように、ボタンを押したら“立つ”というハット型が誕生しました」

『ウルトラクイズ』はクイズ出題者の福留功男の「ニューヨークに行きたいか〜!」というフレーズも印象的だった
『ウルトラクイズ』はクイズ出題者の福留功男の「ニューヨークに行きたいか〜!」というフレーズも印象的だった
【写真】『クイズダービー』司会の大橋巨泉さんと個性的な解答者の2人

『ウルトラクイズ』以前に、解答者を海外に連れていってクイズのロケを行うというフォーマットはなかった。『ウルトラクイズ』によってノウハウが蓄積され、同時に旅番組的な側面として情報も織り込むというスタイルが確立されたという。

 また同番組は、日本テレビの『木曜スペシャル』枠で放送されていた。『木曜スペシャル』といえば、「世界初!」などの惹句が躍り、ユリ・ゲラーの特番やUFOシリーズなどで世間をアッと言わせたことでも知られている。

「『ウルトラクイズ』の制作費は、最盛期で5億円を超えたともいわれています。日本テレビが威信をかけたクイズ番組でしたから、多くの人が魅了されたのも納得です」(大門さん)

4位『なるほど!ザ・ワールド』

 そして4位が、「楠田(枝里子)さんとキンキン(愛川欽也さん)のやりとりが面白かった」(京都府・58歳男性)、「世界のいろいろな話題を知ることができて面白かった」(静岡県・62歳女性)といった支持を得た『なるほど!ザ・ワールド』('81〜'96年 フジテレビ系)だ。実はこの番組、「『ウルトラクイズ』から派生した番組です」と大門さんは語る。

「『ウルトラクイズ』は、日本テレビから委託されたテレビマンユニオンという制作プロダクションが手がけていました。『なるほど!ザ・ワールド』は、長年『ウルトラクイズ』に関わっていたスタッフが、新しい制作会社を立ち上げて手がけた番組なんです」(大門さん)

 ちなみに、現在も続く『日立 世界ふしぎ発見!』('86年~ TBS系)の制作は、テレビマンユニオンが務めている。『ウルトラクイズ』を母体として、次々と世界を舞台にしたロケ型クイズ番組は誕生していった。大門さんは、「ラーメン店が分派していくように、クイズ番組も派生して誕生する傾向があるんです」と話す。

「『なるほど!ザ・ワールド』のプロデューサーだったフジテレビの王東順さんは、『クイズ・ドレミファドン!』('76〜'88年 フジテレビ系)や『クイズ!年の差なんて』('88〜'94年 フジテレビ系)なども手がけています。王さんが手がけるクイズ番組は、必ず出題する際に番組名をコールします」(大門さん)