ちなみに、購入者は男性が75%。圧倒的に男性に人気がある。売れている場所としては特定の自販機で多く売れているということはないそうだが、ホットドリンク全体でいうと意外なところでは、千葉県の蘇我駅といった始発駅でよく売れることがあったという。始発駅で待機中の冬の車内は、暖房が切れている場合もあってかなり寒い。ホット缶で温まりたくなるのもわかる。

店より油と塩分を少なくして飲みやすく

 実際に一風堂のラーメンスープを買って飲んでみた。プシュっと開けたとたん、強烈なとんこつの匂い。缶からただよってきたことのない匂いなので、多少の違和感あり。飲んでみると、想像以上に“とんこつラーメン感”が強い。一風堂のとんこつスープがこの値段(1本150円)でよく再現されていると思った。

「でも実は、お店の味を結構変えているんです。基本的には一風堂さんの看板商品である『白丸元味』のスープをイメージしていますが、ラーメンのスープそのままだとしょっぱくて飲みづらいので、塩分濃度を下げています」

 油の量もかなり調整しているという。たしかに、缶をひと口飲んで口のまわりがギトギトだと敬遠されてしまうだろう。皿にあけて見てみると、一風堂のラーメンと比べて油がかなり少ない気がする。そういう意味では、飲みやすくなっているので、購買者の少ない女性にもいいのではないかと思い、知人女性に飲んでみたいか聞いてみた。

 すると、「ラーメンの汁って残すものでしょ、残飯みたいでヤダ」と一蹴。男性か女性かというより、スープを残さずに飲むほどのラーメン好きかどうかが、この商品を受け入れられるかの分かれ目なのだろう。

 せっかくなので、カレーやクリームシチューも飲んでみた。一風堂のラーメンスープはおにぎりとたしかに合うが、『じっくりコトコト 飲む缶カレー』はサンドイッチとの相性がよかった。ただ、想像以上にスパイシーなので子どもには向かなそう。『とろ~りまろやか クリームシチュー』は、コーンポタージュのコーンのように具材として小さなにんじんが入っているので、ちょっとした小腹なら満たしてくれる。

 でも、やはり印象に残ったのはラーメンスープだ。

 SNSを見ると一風堂だけではなく、一蘭や天下一品のとんこつスープも発売してくれ、という声が。たしかに需要はあるかもしれない。ただ、とんこつスープに限る必要はないので、根強いファンのいる東池袋系の大勝軒や煮干しをがつんと利かせたニボ系ラーメンのスープだってアリな気もする。駅の自販機で人気のラーメンスープを選べるようになる日も近いかも?