弁護士の法律的見解

 今回の『スシロー』騒動以降も、迷惑行為動画の拡散が後を絶たない状況だが、実際に動画投稿者・撮影者はどんな場合に罪に問われるのだろうか。

ベリーベスト法律事務所杉山大介弁護士は以下のように解説する。

――迷惑行為を実行した男性だけでなく、動画の撮影者・投稿者は罪に当たらないのか?

「法的責任を問う場合、違法行為があったのかが当然の前提になります。

 唾液をつける行為が器物損壊なりで違法だとしても、動画で撮影する行為そのものは違法ではないです。

 違法な行為によって生じた結果は法的な損害ですが、そうではない損害は、法律の関知するところではありません。

 まず、どこが違法行為なのかという点から考えないと、法律の話においては判断を誤ります」

――どのような場合、動画撮影者・投稿者も共犯となるのか?

「撮影者も違法行為をしていたと言えるのは、元々一緒にこういう行為をしようと打ち合わせていたりと、唾液をつける行為を共同して行ったと評価できる時です。

 この場合、刑法上は共犯という形で、民法上は共同不法行為という形で、法的責任が生じます」

――ネット上で迷惑動画を拡散した場合はどうか?

「拡散した人間などに、そこまでの共同性は認められません。事実を他人に伝えること自体は、本来は適法な行為であり、違法な行為が起きること自体に関与があったという前提がないと、法的な責任を問うことはできません」

 本日10日、『スシロー』騒動での動画の撮影者と、SNS上で最初に動画を拡散させた知人とみられる関係者も含め、計数人を月内に書類送検する方針と共同通信が報じているが、刑法上の共犯、民法上の共同不法行為は認められることになるのだろうか。今後の捜査が待たれる。

お話しを伺ったのは……杉山大介●弁護士。ベルギー育ち。刑事事件を中心に扱う法律事務所を経て、ベリーベスト法律事務所に入所。学生時代には200単位近くを取得するなど知的関心が広く、当事者や問題状況にあわせた、アラカルトなサービスを提供している。趣味はZUMBA、太極拳、ミュージカルなどのステージ観賞。

杉山弁護士のプロフィール:https://www.vbest.jp/member/detail/526/

ベリーベスト法律事務所:https://www.vbest.jp/