学校のトイレ研究会による調査

 学校のトイレ研究会(以下・研究会)は“子どもたちが安心して使える清潔なトイレの普及”を目的に、さまざまなトイレ関連企業が集まって'96年に発足。毎年、全国の自治体に対し学校のトイレに関する大規模な調査を行っている。'22年発表の最新のアンケート調査では「学校で、児童・生徒のために施設改善が必要と思われる場所はどこですか?」との教職員への質問に対し62%と、もっとも多い回答が「トイレ」だった。

 しかし、学校のトイレ洋式化はほかの公共施設に比べて著しく遅れている。文部科学省では4年ごとに全国の公立小中学校のトイレ調査を行っているが、最新の'20年の調査では、洋式トイレ率57%、和式トイレ率43%。前回の'16年の調査から洋式の割合が約13%増え、この数年で洋式トイレが半数を超えた形だ。

全国公立小中学校の便器の割合(文部科学省調べ)
全国公立小中学校の便器の割合(文部科学省調べ)
【写真】リフォーム後明るく清潔になったトイレ、生徒から歓声が上がることも

「全国の公立小中学校には約135万個の便器があり、このうち和式トイレは58万個。これだけの数の和式トイレをいまも子どもたちが使っています。内閣官房は'25年度までに全国の公立小中学校の洋式トイレ率95%を目指すと明言していますが、このままのペースでは厳しいですね」

 学校での和式トイレの最大の問題は、慣れていないことで使いにくく“子どもが行きにくい”ことにある。研究会が大阪府内のある小学校で行ったアンケートでは、トイレを我慢する理由として、75人の生徒のうち54人が「和式トイレがいやだから」と回答した。