“音楽バラエティー”がテレビを席巻

「『歌のトップテン』は有観客の渋谷公会堂から公開生放送をしていました。当時のアイドルにはそれぞれに親衛隊がいて、アイドルと彼らのコールアンドレスポンスも見どころになっていた。

 今で言う“ヲタ芸”的なものを含めた参加型の歌番組でした。昭和の音楽番組はそれぞれに個性があって、差別化が図られていたため思い出に残っている人が多いのでしょう」(カトリーヌさん)

 夜ヒットの最高視聴率は36.0%、トップテンの最高視聴率は28.8%という数字が示すように、単に音楽番組が多いだけではなく、かつては人気の音楽番組も多かったという点も忘れてはいけない。

「'80年代から'90年代にかけて、アイドルブームとシンクロする形で昭和の音楽番組は盛り上がった面があります。実際、上記3番組は、そのブームが沈静化する'89年~'90年に終了しています。

 では、アイドルの次に盛り上がったものは何か? それがとんねるず、ダウンタウンをはじめとしたお笑いですよね。『とんねるずのみなさんのおかげです。』は'88年にスタートし、以後、お笑い番組が人気コンテンツになっていきました」(カトリーヌさん)

 その言葉を裏付けるように、2位と3位にランクインしたのが、『うたばん』(TBS系)と『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)。前者はとんねるず・石橋貴明が、後者はダウンタウンがMCを務める、お笑いの流れをくんだ“音楽バラエティー”だ。

「歌手のキャラクターの引き出し方が上手だった。普通の歌番組では見られないようなゲストの一面が見られて面白かった」(兵庫県・39歳)

『うたばん』は、嵐やモーニング娘。といったアイドルの個性を引き出し、『HEY!HEY!HEY!』は、シャ乱QやT.M.Revolutionなどのアーティストの意外な一面を引き出した。'80年代のアイドルブーム、'90年代のお笑いブーム、双方の良い部分をミックスしているのだから、この2番組がトップ3に食い込むのも納得かもしれない。

「'90年代半ばから歌謡曲はJ-POPへと変わっていきます。小室哲哉さん、小林武史さん、つんく♂さんといったプロデュースの時代であり、安室奈美恵さん、浜崎あゆみさんら歌姫の時代が到来する。アーティストに神秘性が増していったところがある」(カトリーヌさん)

『うたばん』では石橋貴明と中居正広のゲストへのツッコミが話題に
『うたばん』では石橋貴明と中居正広のゲストへのツッコミが話題に

 だからこそ、「アーティストの素の部分を知りたいという視聴者の好奇心は高まり、トークが求められたのではないか」とカトリーヌさんは分析する。

ネット、SNS時代の音楽番組のあり方とは?

 そして、6位に選ばれたのが、

「『堂本兄弟』も良いけど、やっぱり番組全体の作りが『LOVE~』のほうが面白かった。好きな歌を歌ったり、楽屋訪問したり、ギターレッスンだったり。内容が凝縮されていて良かった」(石川県・42歳)。「豪華アーティストのバックバンド&コーラスが魅力的だった」(千葉県・40歳)

 といった声を集めた『LOVE LOVEあいしてる』(フジテレビ系)だ。同番組は、『HEY!HEY!HEY!』のプロデューサーを務めていたきくち伸氏が担当。当時はよく番組でもイジられていたが、これだけ票を集めたのだから、彼が残した功績の大きさを再認識する人も多いのでは!?