さらに、昔からお姉さまが優秀だったという話も。

「勉強もスポーツも、いつもトップクラス。僕よりもできたのですが、結婚相手選びだけは、失敗してしまいました」

 “優秀だったけれど、結婚相手選びには失敗した”というオチだったのでしょうか、お見合いした女性には、優秀なお姉さまの自慢話に聞こえたようです。そして、「結婚について、姉がこう言っている」とか、「こうしないと失敗をする」とか、何かにつけてお姉さまからのアドバイスを、会話の中に盛り込んできたとか。

 女性の相談室からのお断り理由には、「結婚したら、弟の嫁ということで最初からお姉さまにマウントを取られるのではないかと感じたようです」ともありました。

 嫁姑問題と並んで嫁小姑問題に頭を悩まされている女性は多いと聞きます。義実家にうるさい小姑がいると思うと、結婚も二の足を踏んでしまう女性が多いのかもしれません。

妹からモテるファッションを勉強中

 結婚相談所では、入会するとお見合い写真の撮影をスタジオでします。そのとき、男性はスーツで撮るのが通例です。よしやさん(37歳、仮名)は、細身のグレーのスーツに白いシャツ、ピンクのネクタイを締めて、ジャケットのポケットにはネクタイと同色のチーフをのぞかせ、とてもスタイリッシュでした。

 撮影するカメラマンが、「趣味がいいですね」と言うと、「妹が選んでくれたんです」と嬉しそうに答えていました。先週の日曜日に、この日のお見合い写真撮影のために、妹さんが買い物に付き合ってくれたそうです。

「妹さんとは仲が良いのね」と私が言うと、よしやさんは続けました。

「妹から、『お兄ちゃんは清潔感があるし、もっとおしゃれな格好をすれば、見栄えもよくなる』と言われました。今、妹から女性ウケするファッションをいろいろと勉強しています」

 嬉々として妹さんの話をするので、撮影を終えた帰り際、私はよしやさんにこんなアドバイスをしました。

「お見合いの席や、お付き合いに入ってデートのときなど、“妹さんから女性ウケするファッションのアドバイスをもらっている”という話はしないほうが無難ですよ。それを“男性として頼りない”と感じる女性もいると思います。ご家族やご兄妹が仲の良いのは、本来、微笑ましいことなのだけれど、受け取り方は人それぞれですから」

 ことに、実母、姉、妹は、結婚相手の女性にとって同性のライバルという気持ちが働くことがあります。結婚したときに、自分よりも実家の女性たちを大切にするのではないかという印象も与えてしまいます。