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ー 「素晴らしい作品に貢献したい」
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ー 「真逆の2人が自分の中にいる」

「海外の人に間違えられることはあります」

 こう語るのは、アーモンド形の大きな目元が魅力的な上村侑。

 デビュー映画『許された子どもたち』(2020年公開)で、『第75回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞』を受賞し注目された。同作の内藤瑛亮監督は「セリフが少なく目で語る場面が多い。目の雄弁さに賭けた」と起用した。

「素晴らしい作品に貢献したい」

「子どものころから目に出ちゃうタイプ。よくも悪くも正直な目だと思っています。 だからこそ(演じるときは)集中しなきゃいけない」と上村。

 芝居との出会いは、中学1年生のころに演技レッスンに通っていた妹に付き添ったことがきっかけ。2年生のとき母親のススメもあって小遣い稼ぎ程度のつもりでエキストラを始めたが、『許された―』のワークショップに参加し監督の目にとまった。

「やるしかないと思ってやりました。中学3年生のときに撮影して、新人賞の受賞は高校3年生のときでした。大学に進学するのか、就職をするのか悩む時期に賞をいただいて俳優として生きていく覚悟を決めました。僕の俳優人生を本にしたときには表紙や1ページ目を飾る大事な作品になりました」

 昨年は出演映画8本が公開され、初めての連続ドラマ『ファーストペンギン!』にも出演した。

「1人でも求めてくれる人がいるかぎり、自分がやるべきステージにいたいと思います。そのためには期待を裏切らないようにひとつひとつの作品と向き合って、着実に成長していくことだと思います。素晴らしい作品作りに貢献することが恩返しであり、それに向かって今は一生懸命です」

 3月18日公開の主演映画『Single8』では、8ミリ映画作りに熱中する高校生を演じた。1978年夏に『スター・ウォーズ』を見て大興奮した小中和哉監督の自伝的青春グラフィティーだ。

「服装や髪型、言葉遣いを年代に寄せることはあっても、友人とのコミュニケーションのとり方や心情に年代を意識することはなかったです。撮影前に監督が当時、実際に撮ったキャンプの8ミリ映像を見せてもらって、カメラを友達に向けるときの雰囲気や反応が今と変わらないのは共感というよりも発見した部分でした」