「真逆の2人が自分の中にいる」

 小中監督の希望でドキュメンタリーのように撮影された。

「台本はあったけど、アドリブも多かったです。台本にはインサートとしか書かれていなくて、監督から当時のことを説明されてもどう演じたらいいのか。共演の福澤(希空)くんや桑山(隆太)くんといろいろ相談してアドリブで演じたことはドキュメンタリーというよりもメイキングを撮っている感じでした。

 アドリブは、言葉や表情でキャッチボールができないと難しいので共演者には感謝しています。目線での会話や話の流れをお互いにくみ取る。僕のむちゃぶりに応えてくれたり、相手が仕掛けてきたりする。そういうのは初めてだったので楽しかったです」

 憧れや目標とする俳優には西田敏行(75)をあげた。

「自分が俳優を始めて最初に褒められたのが目だったこともあって、作品を見ているときに(演者の)目をよく見るようになりました。そのなかで西田敏行さんがただ座って話を聞いているだけの芝居に、自分が大草原に放り出され見透かされたような感覚になる底知れない目をしていらっしゃるのを見て、ヤバイ、かなわないと思いました。自分がそういう目になれるのは、だいぶ先になるけど、いつかそういう目をできたらいいなと思いました」

 5歳のときに1年間アメリカで生活し、英語の日常会話には不自由しない。

「将来的には海外に行きたいと思います。でも母国語でみんなが認める芝居ができないと第二言語でやるのはもっと難しいので、今は俳優として地固めをしていきたいと思います」

◆ちょっと変わっている?

 自身の性格については「陽と陰。真逆の2人がいる感覚。タイミングで入れ替えているので一概に言えないです」と上村。「周囲からは“ちょっと変わっているね”とよく言われます。物を見る目線とかがずれているらしいです。本気で世界平和を信じている極端な部分もあって、よく言えば子どもの心を忘れない、悪く言えば世間知らずだと思います」

上村侑が出演する映画『Single8』3月18日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開配給:マジックアワー(C)『Single8』製作委員会
上村侑が出演する映画『Single8』3月18日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開配給:マジックアワー(C)『Single8』製作委員会

 

映画『Single8』
3月18日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
配給:マジックアワー
(C)『Single8』製作委員会

 

 


撮影/伊藤和幸 スタイリスト/黒田領