肥満なのに栄養不足、NG食品に要注意!

 メンタルが不調になると、慢性的なストレスによって太りやすくなってしまう。さらに、肥満によってうつ病のリスクが1.5倍に高まることもわかっている。

 また、うつと糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群についても同様の関係が認められており、メンタルを健康な状態に保つためにも、カロリー過多の食事をとっていないか見直してみよう。

 肥満の要因には、日頃の運動不足や慢性的なストレスによる食欲増進作用なども挙げられるが、欧米化した高カロリー食が増えていることも大きい。

 注意したいのがポテトチップスやカップ麺などのいわゆる超加工食品や、白米、白いパン、うどん、白砂糖といった精製された糖質。

「超加工食品や精製された糖質を使ったモノは、手軽で口当たりも良く、おいしさを感じやすいのでとかく過食しがち。

 しかしこれらの食品は、その加工や精製の間にビタミンやミネラル、食物繊維といった心身の健康を保つ重要成分が削り取られており、『カロリー過多の栄養不足』を生む要因に。その結果、脳の調整機能にも悪影響を及ぼすおそれがあります」

 また、野菜や果物の摂取が少ない、自炊せずほとんど外食で済ませる、1日1食もしくは2食しか食べないなどの『偏った食生活』は、心の健康を保つ栄養が摂取できず、うつ病発症につながるおそれも。

 実際、うつ病患者には肥満にもかかわらず食物繊維やビタミン、ミネラル、アミノ酸などが不足している、栄養不足状態の人が多いこともわかっている。

閉経前の女性は5人に1人が鉄欠乏症。より意識して「鉄分」をとることが重要※画像はイメージです
閉経前の女性は5人に1人が鉄欠乏症。より意識して「鉄分」をとることが重要※画像はイメージです
【写真】手軽にできる“うつ抜け”!置き換えるだけでOKな食材

「厚生労働省の調査によると、うつ病を含む気分障害の患者数は127万人を超え、30人に1人の割合で病院に通院や入院をしているといわれています。
※厚生労働省:平成30年度版『こころの病気の患者数の状況』より

 こうした状況を生んだ要因のひとつが『偏った食生活』の広がりであり、これは自分の心がけ次第でいつでも見直し、改善することができます。

 もし、今、だるい、つらいといった症状にお悩みなら、ぜひできるところから少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか」

メンタルにも悪影響食べすぎNG!要注意食品

 以下のリストにある食品をよく食べている人は注意が必要。落ち込みやすい人、やる気が出ない人は食べすぎていないか要チェック。

・超加工食品

 ポテトチップスやカップ麺などの加工を繰り返した「超加工食品」は、手軽で味も良く、食べやすい反面、カロリーや塩分過多になりやすく、肥満の原因に。肥満はうつ病のリスクを高めるので、食べすぎないで。

メンタルにも悪影響食べすぎNG!要注意食品「超加工食品」
メンタルにも悪影響食べすぎNG!要注意食品「超加工食品」
・精製された糖質

 白米や小麦粉(パスタ、パン、うどん)、白砂糖など、精製された糖質はそのおいしさから過食しやすい一方で、摂取できる栄養素が少ないため、「太っているのに栄養不足」の状態を引き起こす要因に。

メンタルにも悪影響食べすぎNG!要注意食品「精製された糖質」
メンタルにも悪影響食べすぎNG!要注意食品「精製された糖質」
・砂糖たっぷりのお菓子やジュース

 市販されているケーキやキャンディーなどのお菓子類や甘いジュースには精製された糖質である白砂糖がたっぷり。とりすぎると高血糖を招き、糖尿病や肥満に直結するおそれも。

メンタルにも悪影響食べすぎNG!要注意食品「砂糖たっぷりのお菓子やジュース」
メンタルにも悪影響食べすぎNG!要注意食品「砂糖たっぷりのお菓子やジュース」
功刀浩先生●帝京大学医学部附属病院メンタルヘルス科 科長・主任教授。東京大学医学部卒業。1994~95年ロンドン大学精神医学研究所で研究に従事。その後、国立精神・神経センター(現国立精神・神経医療研究センター)神経研究所、帝京大学医学部精神神経科学講座教授などを経て2021年~現職。
功刀浩先生●帝京大学医学部附属病院メンタルヘルス科 科長・主任教授。東京大学医学部卒業。1994~95年ロンドン大学精神医学研究所で研究に従事。その後、国立精神・神経センター(現国立精神・神経医療研究センター)神経研究所、帝京大学医学部精神神経科学講座教授などを経て2021年~現職。
教えてくれたのは……功刀 浩先生●帝京大学医学部附属病院メンタルヘルス科 科長・主任教授。東京大学医学部卒業。1994~95年ロンドン大学精神医学研究所で研究に従事。その後、国立精神・神経センター(現国立精神・神経医療研究センター)神経研究所、帝京大学医学部精神神経科学講座教授などを経て2021年~現職。

(取材・文/大野ルミコ)