これには'80年に始まったアイドルブームで、アイドルが飽和状態だったことも大きい。生き残りたいアイドルたちが新設の「不思議ちゃん」枠を目がけて殺到したのだ。

“いじられ役”の成功者が続出

 そこで成功したのが、三田寛子山瀬まみ西村知美佐野量子といった面々。なかでも西村は不思議ちゃん好きのさんまに気に入られ、中村玉緒浅田美代子らとともに格好のいじられ役となった。『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)で共演した関根勤も最近、ネットニュースのインタビューでこう振り返っている。

「クイズで、浅田さんや知美ちゃんが押そうとしたら、僕はなるべく引いてました。2人とも誰も考えつかない答えを出してくれますからね」

左から三田寛子、山瀬まみ、西村知美、浅田美代子
左から三田寛子、山瀬まみ、西村知美、浅田美代子
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 そういえば当時、西村が『おしゃれカンケイ』(日本テレビ系)に出演した際、蛭子能収にイラストを描いてもらうことになった。お題を求められると「じゃあ、口内炎で」と答え、さすがの蛭子も一瞬、あっけにとられていたのを思い出す。

 また、不思議ちゃん革命にひと役買ったフジテレビは自局のオーディション番組『ゴールドラッシュ』で逸材を見いだした。初代チャンピオンとしてデビューした千秋だ。コラムニストのナンシー関さんは、週刊誌のコラムでこんな見解を述べた。

「かわいい不思議ちゃん、というのはオヤジが最も弱いパターンである。『ゴールドラッシュ』で千秋を合格させたのは誰だ」

 たしかに、華原朋美をシンデレラにした小室哲哉も16歳年上の「オジサン」だった。

 '90年代にはほかに、鈴木蘭々なども登場。自ら作詞したデビュー曲『泣かないぞェ』には不思議ちゃんならではのセンス(?)が感じられる。

 さらに、2000年代にかけては山口もえがブレイク。マツモトキヨシのCMで演じた「なんでも欲しがるマミちゃん」は出世作にして代表作だ。

 そんななか、小倉優子のように、キャラなのか素なのかよくわからない人も出てくる。のちのローラきゃりーぱみゅぱみゅもそうだが、ある意味、戦略的に不思議ちゃんっぽく振る舞うのも有効なのだろう。