美少女子役として注目されたあと、1999年にNHKの朝ドラ『すずらん』に主演。その6年後には、東海テレビ制作の昼ドラ『冬の輪舞』(フジテレビ系)に主演して、これもヒットした。

 ただ、ここ10数年は女優としての実績が少ない。そのかわり、本やブログ、あるいは『アウト×デラックス』(フジテレビ系)などのバラエティー番組でお騒がせタレントとして認知されている。炎上も辞さない言動が彼女にとっての作品、歌手でいえば曲の配信みたいなものだ。

杉田かおるとの共通点と“違い”

 そんな状況は、一時期の杉田かおるに似ている。

 杉田は自伝『すれっからし』のなかで、子役時代から30代なかばでヘアヌード写真集を出すまでの葛藤を激白。少女期には酒やケンカ、ギャンブルに明け暮れ、成人してからは借金や不倫にハマるというドロドロの内容だった。

 これで注目され、バラエティータレントとして再ブレイク。そんななか、最初の結婚をしたが、半年でスピード離婚した。

 とはいえ、最近は落ち着いている。女優業のかたわら、オーガニック野菜を作り、'13年に再婚した相手とも順調なようだ。遠野との違いを考えるうえで、見逃せないのは母との関係。杉田も子役時代、母にギャラを使い込まれたりしたというが、関係は破綻しなかった。

 母は晩年、持病が悪化して介護が必要な状態に。杉田は献身的に寄り添い、母も感謝しながら旅立ったという。母との関係を健全にできたぶん、杉田は安定した方向に進めたのではないか。

 それができないほど、遠野の問題は深刻だったともいえるが、芸能人としての業がそれだけ深いということでもある。そのあたりがいつか、女優としての仕事で実を結ぶかもしれない。

 朝ドラも昼ドラも顔負けの波瀾万丈な遠野なぎこ劇場。この先、どんな展開が待っているのだろうか。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。