部屋に掲げられた自筆の“誓い”

 “愛のあるマッチポンプ”も、芸人としての成功には繋がらなかった。売れない芸人の妻は、ときに稼げない夫の尻を叩く“鬼嫁”などと紹介されることがままあるが……。

「私はあまりそういうことができるタイプじゃないというのもあるし、夫もたぶんそういうのをやられるのがすごく嫌なタイプだとわかっていたので……。でも、それでも何もしていないで遊んでばっかり、ゴロゴロしてばっかりしていたら、いい加減にしなよってやっていたと思います」

 マシンガンズは、人や世間、流行に毒づく、タイプ的には“破天荒”というタイプに分類される芸風だ。

「夫は家にいるときはいつも机に向かっているような人なんです。新聞を広げてずっと記事をメモっていたり。ネタに使えそうな記事をメモしているみたいです。またネタを書いたり、小説を書いたり、わりと家で静かにもくもくとやっているタイプなので、それがお金にすぐに繋がっていなくても毎日そうやっている姿を見ていると、“もっとやってよ”とは言えないので、尻を叩くみたいなことはせず見守っていたという感じです。もちろん家庭内のこと、子育てのことなんかはいろいろ言うときはありましたけど(笑)」

『THE SECOND』の番宣特番で夫・滝沢は「年取って傷つくことに臆病になった。なるべく傷つきたくない」と話していた。ベテラン芸人としてこの大会に出場し、結果が出なければ、それは改めて“面白くない芸人”という烙印を押されることになりかねない。それでも出場した夫をどう見ていたのか。

「出場するという話はとくに聞いていなくて。勝ち進んで、あと2回勝ったらテレビに出るくらいから知って。まさかそんなことをやっているなんて知らなかったです。ママ友から“勝ち進んでるよ!”って連絡もらって知るみたいな。夫の毎日の仕事も基本的に把握していないので、ゴミじゃない仕事に行くときは“あ、今日はお笑いのほうなんだ”くらいで(笑)」

 ほぼゴミ専門家として活動していた夫だが、部屋には自筆の“誓い”が掲げられていた。

「夫は書道の師範の免許を持っているんですが、昔自分で書いた“一生芸人”という半紙をずっと部屋に貼っていたんです。今回の大会を見ていたときにそれを思い出して、“芸人を続けて良かったなぁ”って思いました。

 番宣で芸人と思っていないというようなことを夫が言っているのを聞いたとき、私もそうは思っていました。でも、今回いきいきと漫才をやっているのを見て、やっぱり芸人としてテレビに出るというのは、夫にとってすごく心の底からの喜び……だったんだなと」