容疑者の父親である、長野県市議会の青木正道議長(57)。(写真はツイッターより)
容疑者の父親である、長野県市議会の青木正道議長(57)。(写真はツイッターより)
【写真】どことなくうつろな目をしていた中学生時代の容疑者、当時は野球部に所属していて…

 大学中退後は父のすすめで自衛隊に入隊するも長続きせず、ひきこもり生活のかたわらクレー射撃場に通っていたという報道も。両親の思いとは裏腹に、孤独を深めながら、猟銃を手に何を思ったか。

 そして悲劇は起こる。

「事件当日の午後4時20分ごろだったと思います。畑で作業をしていると知人が来て“人が刺された”と叫ぶので、急いで向かうと、女性が倒れていたんです。知人によると、政憲は、女性の背中をナイフで2回、倒れたところを正面から1回刺したのだと……」

 そう話すのは、事件現場で青木容疑者を目撃した男性だ。

「現場を目撃した知人は“なんでそんな酷(ひど)いことをするんだ”と政憲に聞くと、彼は“殺したいから”と話して、自宅へと入っていったそうです。その後、私が女性に心臓マッサージをしていたらパトカーがサイレンを鳴らして近づいてきました。すると、自宅から出てきた政憲が猟銃を手に、私の後ろを通過して、パトカーへと近づいていったんです」(同・目撃者男性、以下同)

ニヤニヤと笑みを浮かべて…異様な表情

 男性は、そのときの青木容疑者の顔が忘れられない。

「ニヤニヤと笑みを浮かべて、異様な表情をしていたんです。私の後ろを通過して、パトカーへと向かっていった。そして、車の横から銃を向けて脅すのを楽しむかのように笑っていたんです。そこで私は逃げたのですが、後方から銃声が2回聞こえてきました。後で戻ると、パトカーの中の警察官はグッタリしていて、顔に複数の銃弾を受けた痕がありました」

 そして、こう話を続けた。

「政憲は、目の前で犯行を目撃した知人や心臓マッサージをする私を襲わなかった。気づかなかったはずはありません。顔見知りの私たちでなく、あえて知らない人ばかりを襲っていたのでしょうか……」

 どうしてなのか。犯罪心理学者の出口保行氏は、

「容疑者は両親を苦しめるため、犯行に及んだのではないでしょうか。知らない人ばかりを襲った一方、人質にとった母親を逃がしている。通り魔のような無差別な犯行は、社会に大きな衝撃を与える。両親に重い十字架を背負わせ、苦しめることが目的だったのでは。家族の誰にも手を出していないことから、そこに意味があったのだと推測します」

 真相解明が待たれる。