柳容疑者は1973年に神奈川歯科大を卒業。2年後に都内で個人医院を開業し、2003年からアップル歯科の院長を務める。近隣住民らによると、かつては20代の女性歯科衛生士を雇っていた時期もあるが、ここ最近は妻とふたりでやり繰りしていた。

「院内は狭く、診察室は奥まった先にあり診察台が1台しかない。受付にいる奥さんは足を悪くしているため動き回らず、覗かれないと踏んで犯行におよんだのではないか。夫婦仲はよさそうだったし、ご高齢の奥さんが気の毒でならない。奥さんは穏やかで礼儀正しい女性なんです」(近所の女性)

 知人によると、容疑者夫婦は学生結婚。開業以降は二人三脚で日夜診療にあたり、歯科衛生士として診療をフォローしていた妻は「デートする時間もなくなっちゃった」などとグチっていたという。

 逮捕後、同院はシャッターが降り、『臨時休診』の札がガムテープで貼り付けられたまま。大勢の治療途中の患者が困っているはずだが……同院の事情に詳しい近所の男性はゆっくりと首を振る。

「そんなに患者は多くないと思うよ。この辺りでアップル歯科にかかっている人はまず見当たらないから。歯科医院はほかにもたくさんあるし、腕のよさと勉強熱心さで評判の歯科医院が近くにあるんだ」(同・男性)

 複数の元患者によると、同院は順番待ちの患者が1、2人程度で「予約していなくてもすぐ診察してもらえるのがいい」(60代女性)とのこと。待合室が患者でごった返す光景など見たことがないという。

口をゆすぐコップが薄汚れている不潔な院内

 患者が定着しない理由について、3〜4年前に通院した80代女性はこう話す。

「ひと言でいうと院内が不潔なんです。掃除が行き届いていないし、植木は枯れっぱなし。口をゆすぐコップや顔にかけられるタオルも薄汚れていて“きちんと消毒しているのかな?”と不安でした。院長(柳容疑者)の白衣もパリッとしていない。一応スリッパに履き替えるんですが、土足でいいくらいに汚かった。清潔に保たれるのが当たり前の病院なのにね。院長の患者に対する態度もなんかエラそうだし」

 別の元患者の女性は、診療そのものに満足できなかったという。