女性版骨太の方針、リスタートは重要まず隗より始めよ

 目標設定の再検討がなされているのは高速道路ばかりではない。

 4月27日に行われた『女性版骨太の方針2023』策定に向けての男女共同参画会議では、岸田首相は「日本を代表するプライム市場上場企業について、2030年までに女性役員比率を30%以上とすることを目指す」という具体的な目標を示した。

 この数値は、2003年に示されて以来、これまで政府が掲げてきた『202030』(社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位における女性の割合を30%まで増やすこと)の未達を受け、達成期限を10年延長して再スタートを切ったものだ。

「こういった政策は具体的な目標を設定して道筋をつけていかなければ、遅々として進みません。その意味では、国のリーダーが目標を明確に打ち出したことには非常に意義があると思います。

 ただし、『202030』が実現できなかった要因はきちんと検証して反映させるべきですし、民間企業に対して実現を迫る前に政治分野において目標達成の姿勢を示すことが大事なのではないかと思います」

 現在の第2次岸田改造内閣では、女性閣僚は永岡桂子文部科学相と高市早苗経済安全保障担当相の2名のみ。自民党4役には女性議員は入ってすらいないという状況だ。2021年の衆院議員総選挙では、候補者に占める女性の割合は17.7%、当選者に占める女性の割合は9.7%と諸外国に比べても非常に低い水準のままで、政治分野においても女性活躍推進が実現できているとはいえない。

日本の国会議員に占める女性の割合は10%に満たない
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「女性閣僚については、最も多いときでも、小泉内閣や第2次安倍内閣の5人で、3割という目標値には到底届いていません。

 そんな政府が主導する『203030』という目標は、まず隗より始めよということで政治分野から進めていかなければ、男女共同参画に対する本気度は民間企業や国民には伝わらないのではと思ってしまいますね」