また、期間限定で発売される「ベーコンポテトパイ」も、復活販売されるたびに話題になっている。筆者も1990年代から「ベーコンポテトパイ」のファンであり、期間限定で発売されるたびに購入しているが、久しぶりに「ベーコンポテトパイ」を食べたときには、オニオンとポテトが織りなす味に、当時の懐かしさが込み上げた。

 それと同時に、人の味覚は曖昧ではなく、意外と鮮明に記憶に残っていることに驚いたのをよく覚えている。

 復活メニューが人気なのは、「味覚」で存分に懐かしさを感じ、それよって久々に味わう「感動」が得られるのも人気のポイントだろう。

 今回の「平成バーガー」では、「たまごダブル」、「焙煎ごま えびフィレオ」、「ジューシーチキンブラックペッパー」にスポットライトが当てられたが、まだまだ平成のマクドナルドには復活を期待したい商品が数多く残っている。

 1999年に発売された「マック牛なべパン」や2001年の「サーモンマック・ムニエル風」、1991年の初のライスメニュー「マックチャオ」など、復活希望のメニューを挙げたらキリがないが、青春時代によく食べたメニューが期間限定でも復活するというのは、やはり嬉しい。

 復活メニューの「懐かしさ」は、マクドナルドに限ったことではない。今回のマクドナルドの話題性やヒットを皮切りに、ほかのチェーン店での復活メニューにも期待が高まる。

平成のオマージュに慣れるのは時間がかかる

 マクドナルドの「平成」をモチーフにしたCMに話を戻すと、ここまで話題になるのは、視点を変えて考えてみると、マーケティング自体には成功したかもしれない。

 実際に波紋を呼んだPUFFYのCM「アジアのジューシー」は、CMこそ賛否両論だったが、「油淋鶏チキン」を筆頭としたメニュー自体には「美味しかった」「また食べたい」などポジティブなコメントが多く寄せられていた。

「昭和レトロ」の言葉を受けいれたときのように、平成と令和の時間の距離がひらけば、“平成バーガー”に感じたCMの違和感は薄れるかもしれない。令和に入り、すでに5年のときが経ったが、私たちが平成の「デフォルメ」と「オマージュ」に慣れるのはまだ時間がかかるようだ。


Tajimax(たじまっくす)ライター・コレクター
東京都出身。2018年からSNSを中心に90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーを紹介している。『オリコンニュース』『現代ビジネス』『ビジネスジャーナル』などで平成ガールズカルチャー関連のインタビュー取材ほか、「アーバンライフメトロ」などのウェブサイト、「クイック・ジャパン」に寄稿。90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーのコレクターでもあり、古雑誌をメインに膨大なアイテムを所有している。