“学問の自由”が脅かされる可能性

「皇族が入学されれば、護衛にあたる警察官が、大学構内に控えることになります。しかし、“大学の自治”をとりわけ重んじる東大が、警察官が頻繁に入構する状況を許容するとは、到底思えないのです」(東大OB)

 東大では1952年、構内で行われた学生劇団の演劇発表会に、私服警官が潜入していたことが発覚し、トラブルに発展したことがあった。

「警察官の立ち入りが、大学における学問の自由と自治を侵害するかどうかが裁判では争われ、劇団名をとった『ポポロ事件』として広く知られています」(同・東大OB)

 そうした経緯もあり、大学側も警察官の立ち入りに敏感になっているという。

「皇族の身辺警護に限っていえば、大学の許可があれば問題ありません。ただ、警察は警備・公安活動として、学生団体を調べ上げる可能性も。仮に悠仁さまが東大に進学されたとすると、私服警官が構内に立ち入り、天皇制に反対する団体がないか確認することが考えられます。これが大学に無断で行われた場合、“学問の自由”を侵害するおそれがあり、違憲とされます」(憲法を専門とする西南学院大学の齊藤芳浩教授)

東大のシンボル『赤門』。本郷キャンパスにあり、国の重要文化財にも指定されている
東大のシンボル『赤門』。本郷キャンパスにあり、国の重要文化財にも指定されている
【独自写真】悠仁さま、高校の夏行事で登山されるレアなお姿を激写!

 ある学習院関係者は、こう憂色を浮かべる。

「“皇族のための学校”として知られる学習院は、警備体制のノウハウがあり、学校職員や保護者にも卒業生が多いため、皇族を受け入れやすい環境が整っています。もし悠仁さまが東大に進学されれば、史上初の“東大卒の天皇”となりますが、皇族のご進学によって、日本一の大学の“学問の自由”が脅かされるようなことはあってはならないと思います」

 東大進学の壁は、想像以上に高そうだ。


小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代史を専門とし、『皇族に嫁いだ女性たち』など著書多数

齊藤芳浩 西南学院大学法学部教授。憲法を専門とし、著書に『統治行為の法理』(法律文化社)など