「そんな3人がラジオ番組のバスツアーで出会って、仲よしになって、宝くじに当たって、共同生活して、カフェを始める。取ってつけたような展開というか、都合がよすぎません? そもそも3人がキャッキャする感じが、どうもね“おじさんの考えた、女子の仲よくなる感じ”がするんですよ」

テレビ朝日に残してほしい「DNA」とは?

 脚本は岡田惠和。女の友情ドラマとして、どうしても比べてしまうのが『ブラッシュアップライフ』(1月期、日本テレビ系)だという。脚本はバカリズムだった。

「安藤サクラさん、夏帆さん、木南晴夏さん、水川あさみさんが演じていた3人組、4人組。あれが本当の女子の仲よくなり方なんですよね。対して、この作品は女性を“きれい事”で描いているから、なんだか靴の中にずっと小石が入っているような感覚になる。そもそも、3人寄れば政治が始まるはずで。

 それぞれの考え方の違いも描かれず、ただただご都合主義でキャッキャやっているだけで勝ち組なんて、本当にがっかりですね

 来月からは各局の新ドラマが続々とスタート。“がっかり”ではなく、期待どおりの“やっぱり”ドラマを期待してやみません!

◆よかったドラマは?

 先述のとおり、『波よ聞いてくれ』で小芝風花が演じたヒロインを絶賛した吉田さんだが、そのほかによかったドラマは?

「『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、放送終了)ですね。ただの不倫ドラマになるかなと思ったら、夫婦の言葉にならないすれ違いや勘違い……あそこまで心理描写をきちんと描いている作品はなかなかないので。2組の夫婦(奈緒&永山瑛太、岩田剛典&田中みな実)の全員に罪の意識みたいなものを負わせていて、奥の深い夫婦のドラマでした」(吉田さん、以下同)

 さらには『unknown』(テレビ朝日系、放送終了)。こちらは『おっさんずラブ』('16年)の制作陣が再集結した。

「吸血鬼(高畑充希)と人間(田中圭)の恋は“多様性を認める”という側面もあったと思うんです。『おっさんずラブ』だってそうですよね。好きという気持ちをとても大切にしていた。『unknown』はふたりのキスシーンがすごくよくて、イチャイチャっぷりも好きでした。結末は“えー!?”という感じでしたが、コメディーに振り切ったシーンもありつつ、見せ場や主軸を失わなかった。こういうDNAはテレビ朝日にちゃんと残していってほしいなと思います


吉田潮……ライター、コラムニスト。『週刊新潮』『東京新聞』『プレジデントオンライン』ほか多数寄稿。最新著に『ふがいないきょうだいに困ってる』(光文社)