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ー 背後から近づき、棒のようなもので殴って逃げた
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ー 以前は妻と子ども、犬がいると賑やかな一家だったが…

 真冬の聞き込み捜査は寒さとの闘いだ。

 刑事は現場周辺で、

「紺色っぽいフード付きロングコートを着た男を見かけなかったか」

 などと丹念に尋ね歩いたという。

 今年2月、横浜市戸塚区の歩道で高齢男性が棒のようなもので殴られて死亡した事件は発生から約4か月で急展開した。神奈川県警が6月18日、殺人の疑いで逮捕したのは同区の会社員・服部繁雄容疑者(64)。捜査員が追い続けたフード付きロングコートの男だ。全国紙社会部記者は振り返る。

背後から近づき、棒のようなもので殴って逃げた

「2月20日午後6時ごろの大胆な犯行だった。現場は交通量の多い国道沿いの歩道で、帰宅ラッシュと重なり渋滞していたため“男が高齢男性を棒で殴っている”と通報する運転手もいた。男は背後から近付き、棒のようなもので被害者の頭部などを複数回殴ると、走って逃げていた。被害者側に目立つトラブルはなく、犯行動機が思い当たらない難事件だった」

殺害された柴田哲二郎さん(企業のインタビュー記事より)
殺害された柴田哲二郎さん(企業のインタビュー記事より)

 県警によると、殺害されたのは同県藤沢市の無職・柴田哲二郎さん(78)。病院に救急搬送されたが、翌21日午前2時40分に亡くなった。のちに死因は頭部打撲による頭蓋内損傷と判明した。

「柴田さんは襲われる約20分前、自宅で妻に“行ってくるよ”と声をかけて散歩に出かけ、約1・5キロ先の路上で不意打ちされたとみられる。現場の歩道は幅が広いが、周辺には人けのない道も多く、なぜ人目につく場所で凶行におよんだかわかっていない。柴田さんのあとをつける容疑者らしき不審な男が防犯カメラに写っていたほか、事件の数日前にも特徴の似た男が尾行する様子が防犯カメラに捉えられていた。捜査当局は、あらかじめ柴田さんの行動パターンを確認して計画的に犯行におよんだ可能性もあるとみて、柴田さんとの接点の有無などを調べている」(前出・記者)

 柴田さん宅近くでは事件当日、黒っぽい金属バットを振り回したり、電柱の陰から柴田さん宅方面を監視するように見る全身黒づくめの不審な男が目撃されている。

 服部容疑者は警察の取り調べに対し、「やっていません」と犯行を否認。

 柴田さんについて、「面識はなく、知らない」と供述しているという。

 容疑者宅は犯行現場から約500メートルにある分譲マンションだ。