目次
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ー 生きることと同じぐらい死ぬことも大変
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ー 在宅介護の知識がなく最期に苦しい思いを
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ー 介護生活になったらしてもらいたいことも具体的に準備

 7年前にがんを患った父親を自宅で看取り、今年、義父母との同居をスタートした大場久美子さん。「生きるのと同じように、死ぬのって本当に大変。自分はどうやって死ぬのだろう……と終活を考える年になりましたね」いずれは夫に自分の介護をしてもらうことを視野に入れ、起こした驚きの行動とは?

生きることと同じぐらい死ぬことも大変

「誰しもいつか介護され、看取られる側になりますよね。快く見送ってもらえるよう、持ち物を最小限にするなど生活を少しずつ整えています」

 そう朗らかに話すのは、女優の大場久美子さん。今年1月から同居する義父母の介護についても日常的に夫と話し合い、身近な自分ごととして介護・看取りと向き合う。

生きることも大変ですが、同じように死ぬことも大変。最期が近づいてきたとき、自分は何を大事にしたいか、周りの大切な人とどう過ごしたいか、きちんと考えておきたいし、介護する側になったときは、家族が自然とそういうことを考えられるよう支えたいです」(大場さん、以下同)

 大場さんがそう感じるようになったのは、実父の介護と看取りがきっかけ。約8年前、がんを患っていた父の在宅介護を担った。腹水がたまって歩けなくなり、不安げな顔をしている父を見て、大場さんから“うちに来る?”と誘ったのだ。しかし、当時は「父と良好な関係とはいえなかった」と振り返る。

一緒に過ごすとストレスになることもありました。でも、親であっても、たとえ他人であっても、死期が近く、自分を必要としている人がいたら見捨てることはできないでしょう?

 地域の困っている人を助けるために奔走していた母を見て育ち、幼いころから“目の前にいる人を助けるのは当然”というボランティア精神が身についていた。父の在宅介護に際しても「できるだけ本人の意思を叶えられる生活にしよう」と腹をくくった。

 とはいえ、仕事をしながらの在宅介護は過酷だった。

「介護は大変なものだと理解はしていました。ただ、そうは思っていても、疲れがたまってやりきれない気持ちになることがあって。父が寝ている隙に一人でこっそりケーキを食べてストレスを解消したこともありましたね(笑)。思っていることをため込まず、楽しみを見つけて気持ちをコントロールする時間が大切だと実感しました