そう話す背景には、こんな事情がある。前出の近隣住民男性が明かす。

「もう60年ほど前のことです。鷲見さんがわいせつ行為をした疑いで警察沙汰になって新聞に載ったことがあったよう。ただそれは、鷲見さんが僧侶になる前のこと。それ以降、問題があるなんて話は聞きません」

過去のわいせつ疑いの相手は女児

 この事情について、前出の檀家の男性が話を引き継ぐ。

「私の祖父に聞いた話ですが、近所の子どもがお寺でイタズラをしていたそうなんです。それを見つけた鷲見和尚が、叱ろうと“いかんでしょう。こっちにきて尻を出しなさい“と言ったところ、女の子がパンツまで下ろしてしまった。それを偶然に見た人が警察に通報したそうなのです。鷲見和尚としては、叱るためにパーンとお尻を叩いて終わりにしようと思ったのでしょうが……。だから今回も、何かの誤解があったのではないか」(同・檀家の男性、以下同)

 そして、ある彫刻を手に取って、こう続けた。

「この布袋様は、以前に鷲見和尚が彫ったもの。見てください。よこしまな気持ちがある人に、こんな顔の布袋様は彫れないと思うんです……」

 一部の地域住民からの信頼は厚い。が、その一方でこんな話も。

「あの人は生臭僧侶ですよ。私の姉も被害に遭っていたんです」

 そう強く批判するのは、佐野市内に住む女性だ。いったい何があったのか。

「姉が小学生のころですから、もう50年以上前の話です。姉が友だちとお寺で遊んでいたら、鷲見容疑者に呼ばれ今回のように本堂に連れて行かれたそうです。そこで、同じようにお尻を出させられ、お尻を叩かれて触られたって……」(市内に住む女性、以下同)

 もしかしたら、先のようにイタズラをした子どもを叱っただけかも? ただ、鷲見容疑者はこんなことも話していたという。

「お尻を触られた後に鷲見容疑者から“親には言うなよ”と言われたので、律義に黙っていたそうです。姉は怖くなってそれからお寺に近づかなくなったと話していました。今回の事件が起きたことを姉に伝えたら“そんなの昔からよ”と言って、話してくれたんです。いくつになっても変わらないんですね。最低ですよ」

 子どもに口止めをするとは、何か後ろめたい気持ちがあったからとも思えてしまう。

 事件について話を聞こうと『法雲寺』を訪ねた。インターフォンを押すと、昨年10月に住職の座を引き継いだ鷲見容疑者の息子が応答するも、

「被害者の女性には大変申し訳なく思っていますが、捜査中のためお答えは控えさせていただきます」

 と言葉少なだった。

「手で触ってはいない」

 そう容疑を否認している鷲見容疑者。仮に手で触っていなかったとしても、女性を四つん這いにさせて木の棒で尻を叩く行為に必然性があるとは思えない。煩悩にまみれ、女性を傷つけた罪は重い。