暴行罪に加え、傷害罪に当たる可能性も

「他人に対しての暴力の行使は、刑法208条の暴行罪に当たる可能性が高いです。暴力の行使の具体的な中身が不明なため断言はできませんが、殴る蹴るといった行為があれば当然、暴行罪に該当します。また、この暴行は、集団で行われているため、暴力行為等処罰に関する法律1条の集団的暴行罪に当たる可能性もあります。この犯罪は、『多衆』が『威力ヲ示シ』て暴行等を行った場合に成立する犯罪なのですが、参考資料を拝見する限り、浦和サポーターがいわゆる暴徒化して集団で威勢を示しているように思えます。それに加え、怪我が発生していた場合には、刑法204条の傷害罪に当たる可能性があります」

浦和サポーターによって破壊されたスマホ(SNSより)
浦和サポーターによって破壊されたスマホ(SNSより)
【写真】「まわしてんじゃねーよ!」浦和サポーターがスマホを破壊する一部始終

 浦和レッズのサポーターは、名古屋グランパス側の横断幕を剥がし、立ち入り禁止エリアにも侵入したとのことだが、これについては、

「横断幕の状態次第ですが、傷が付いていることもあるでしょうし、その場合は器物損壊罪に当たる可能性があります。また、立ち入り禁止エリアへの侵入は、軽犯罪法1条32号違反の犯罪が成立する可能性があります。これは、立入りが禁止されている場所に正当な理由なく入った場合に成立する犯罪です」(正木弁護士、以下同)

 浦和レッズによるサポーターへの処分は甘いとされているが、チームからサポーターへのさらに重い処分とはどのようなものが想定されるのか。

「浦和レッズのサポーターは、浦和レッズのメンバーシップに加入する形。規約を見ますと、会員資格をはく奪する形で今後サポーターになれなくする処分があり得そうです。また、今回の行為でレッズに対して損害が発生していれば、不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができます。ただ、仮に損害が発生していたとしても、チームが自分たちのファン、サポーターを訴えるということは倫理的に高いハードルがあるでしょう」

 8月18日には、再び名古屋グランパスとの試合を控える浦和レッズ。選手よりもサポーターの振る舞いに注目が集まっている。

正木絢生代表弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。慶應義塾大学法科大学院卒業。第二東京弁護士会所属。bayfm『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組『news イット!』(フジテレビ系)などメディア出演も多数。相談しやすい身近な弁護士。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。