婚活に駆け引きは必要ない

「これまで恋愛らしい恋愛をほとんどしてきたことがないんです」

 入会面談のときにこう言っていたさよこさん(32歳、仮名)ですが、高校時代の親友が授かり婚をすることになり、急に結婚を意識したそうです。

「私もここ1年くらいのうちに、結婚をしたいです」

 そうして婚活をスタートさせたのですが、なかなか自分から好きになれる男性には出会えずにいました。半年が経ち、婚活疲れを起こしはじめていたときに、しんやさん(37歳)に出会ったのです。

「見た目もタイプだし、経歴もいい。お見合いをして、初めて私から“いいな”と思った男性です」

 交際は順調だったようで、3回目のデートを終えるとこんな連絡を入れてきました。

「今週末は、ちょっと遠出をして初めて1日過ごすことになりそうです。彼の車で郊外の自然公園に行く約束をしました。私、早起きしてお弁当を作ろうと思います」

 しかし、この報告から2日後、しんやさんの相談室から交際終了の連絡がきました。驚いた私は、しんやさんの相談室に連絡をいれ、「週末にドライブの約束をしていたようです。なぜ交際終了になったのですか」と尋ねました。

 理由は、こうでした。

「この間、お見合いをした女性をとても気に入ってしまったんです。さよこさんはいい人だけれど、会話もですます調を崩さないから、会っていてもどこか他人行儀。LINEを出しても返事が来るのが翌日なんだそうです。ところが、その女性は、一緒にいてもよく笑うし友達口調で話せる。LINEも即レスしてくるから、毎晩4往復、5往復、チャットのようにやり取りをしていて、そちらの女性を好きになってしまったようなんですね」

 ドライブを楽しみにしていたさよこさんに、交際終了がきたことを告げるのは酷だったのですが連絡をしました。すると、声を詰まらせてしまいました。

 そこで私は、今回お断りされた事情を説明しました。すると、さよこさんが言いました。

「LINEは即レスしないほうがいいって、友達に言われていたんです」

 友達というのは、高校時代の妊娠中の彼女でした。

「尻尾を振って、好き好き好きってアピールしたら、男性からは選ばれない。駆け引きも大事だって」

 婚活での出会いは、2人の間の人間関係、信頼関係を築いてこそ、それが結婚につながっていきます。また、年齢、見た目、経歴など備えている条件が同じライバルは、婚活市場に大勢います。気持ちの出し惜しみをしたり、駆け引きをしたりしていたら、ストレートに好きな気持ちを表現してくるライバルに負けてしまうのです。

 婚活で素敵な異性に出会い、結婚までうまく進めたいと思うのなら、相手との距離感を考えながらこの言動をしたら、相手がどう思うか、その想像力を働かせてコミュニケーションを取っていくことが大事です。時間を重ねていないからこそ、関係も壊れやすいというのを忘れないでくださいね。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊100日で結婚(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル