平熱の低下で免疫力も下がる

 日本人の平均体温は、ここ約50年間で36度台後半から36度台前半まで、約1度近くも下がっている。望ましい平熱の体温は36.5~37度で、35度台という人は低すぎるという。

「何らかの病気や不調を抱えている人は必ずといっていいほど冷えています。実は、体温と免疫力は大きく関係しており、36.5度を基点に、体温が1度上がると免疫力は数倍になり、逆に1度下がれば、免疫は大幅に低下します」

 平熱が低い人ほど免疫力も低いといえるが、なぜ、平均体温が下がったのか。

「車や電車、エレベーターなどを使い、筋肉が収縮しにくい生活を送っていると、基礎代謝が下がり、身体の冷えにつながります。

 現代生活は便利ですが、そのせいで身体の熱をつくるという人間が本来持っている力を育てづらくなりました。文明の利器に頼り、便利になればなるほど不健康の要因になるとは、皮肉なものですね」

 筋肉量は、加齢によって減少するが、特に女性は、そもそも筋肉が少ないので、より注意が必要だ。

「筋肉を動かして運動をすれば、それだけで身体に熱が生まれて血のめぐりもよくなります。さらに、筋力がついてくると体温を自分で調節できるようになり、免疫力が下がらなくなるのです」

 階段があったら上り下りをする、電車では座らない、家事をしながらスクワットをしてみるなど、“ながら”で構わないので筋肉を使うことを意識してほしいと川嶋先生。

「筋肉は何歳でも適度な運動を一定期間行えば増えますから、筋トレなどを取り入れることが一番ではありますが、日常でやり続けることが大事です。身体を使うと疲れる……のではなく、自分の身体が得をすると考えて」

現代人の血流悪化・体温低下の原因は?
「エアコン・乗り物の進化・冷蔵庫」といった現代文明が不調の一因!
 エアコンや冷蔵庫の冷えた飲み物などで身体が冷え、移動手段の進化で運動不足になり、体内の熱産生能力が下がって体温が低下。それに伴い免疫力も落ちている。