ジャニーズJr.として活動していたときの田中斗希(本人提供)
ジャニーズJr.として活動していたときの田中斗希(本人提供)
【写真】少年との行為に及ぶ前、おぞましい表情を浮かべるジャニー喜多川氏

 田中も、母親とこんな会話をしたという。

「性加害が報道で明るみに出てから、母親が“トシも受けてたの……?”と聞いてきたことがありました。だから僕は“性被害はあったけど、大丈夫だよ。全然、苦しんでないから”と明るく伝えました。でも母親は“なんで気がついてあげられなかったのかな……”と、悲しそうな顔をしていて。

 親族が集まったときも、開口一番に聞かれるんです。そのときは母親が傷つくから“受けていない”とウソをつきましたけど。そうやってウソをつくことにも罪悪感がある。僕は、こうした悪循環を止めたいんです。だから、僕が受けた被害やこれまでのこと、声をあげない元ジャニーズたちが何を思っているのか全部、話しますよ」

 田中がジャニーズ事務所と初めてかかわりを持ったのは2006年5月、12歳のとき。堂本剛主演のドラマを見て、自分もテレビに出たいと思ったことがきっかけとなり、ジャニーズ事務所のオーディションに応募。その後、連絡があってNHKの『709リハーサル室』に向かったという。

「会場に入ると番号付きの名札をもらって、ダンスを踊ることになりました。100人ぐらい、いたと思います。そこに、ちょろちょろと歩くおじいちゃんがいたんです。変な人がいるなと思っていたら、そのおじいちゃんに“ユーは何番?”と聞かれました」

 これが、田中とジャニー氏の初めての接触だった。

「すごくフレンドリーだった」ジャニー氏

 オーディション後、その場に残るように指示された田中を含む少年たちは、ジャニー氏とNHKの食堂に向かった。

「そこでジャニーさんが“ユーの名前は何ていうの?”と聞いてきたんです。“学校で面白いことあった?”とか“部活は何をやってるの?”とか、私生活を聞かれました。“敬語なんか使わなくていいよ。僕そういうの嫌いだから”と言ってくれて、すごくフレンドリーな人でした

 こうして田中のジャニーズでの活動が始まった。最初は、デビュー前のレッスン生であるジャニーズJr.からのスタートだった。その生活は「めちゃくちゃ楽しかった」と語るが、入所から数か月がたち13歳となった田中を、ほどなく魔の手が襲ったーー。