ツアーはときにソロで、ときにバンドで全国各地へ

「発売前にまったく音源を外に聞かせないままたくさん予約をいただいたり、ライブで当日買おうと思ってくださっている方がいるというのはとても自信になりました」

 ツアー先ではファンも含め、さまざまな人と出会う。そしてそこで抱いた感情は今作の楽曲にも乗っているという。

「旅で出会った人たち、ライブに来てくれる人たち、また“ライブに来てください”と会場を押さえてくれる人たちって、すごく音楽好きなんですけど、どこか物悲しそうなものを持ってらっしゃる方が多い印象で。

 何かそういった人たちの隙間を埋められるような曲が書きたいなっていうのはありました。人のためにっていうことで考えていくと限界があるので、僕はそういうふうな曲の書き方はしないんですけど、でもどこか何か想像する上で、どうしてもそういった人たちの、そんな表情がちらついて。

 父親として重ねてきた年月もあるとは思うんですけど、そういった見え方というか、自分に余裕があるとかではまったくないんですけど、ひとつ、少し支えになれればいいなと思いましたね」

 ツアーはときにソロで、ときにバンドで全国各地へ。訪れるのは小さな街も少なくない。

「最初は都市圏だけだったんですけど、“自分のところに呼んだら来てくれますか?”という声をかけてもらって、それが広がっていった感じですね。ぜひ呼んでくださいって話をして」

 また会場もライブハウスだけでなく、カフェバーなどでも歌う。

「自分がいろんなところでやっているというのをSNSで見てくださって、それが大きなきっかけだと思うんですけど、SNSにはずいぶん助けられましたね。自分から探すときもあるんです。“この街で歌いたいな”と思って、ホームページを探して、“こういう者ですけど”ってメールしたりとか」