“私にしかできないことを頑張りたい”という気持ちはヌードモデルの挑戦にもつながった。

今の自分だからできる

乳がんについていろいろと調べる中で、手術前の乳房がある状態を写真に残す人がいることを知りました。でも私は、左胸がない自分の姿を記念として残したいと思ったんです。そんな時にヌードモデルの募集があることを知り、“私がやりたかったのは、こういうことかもしれない”とひらめきました。左胸はなくなったけれど、ありのままの自分でいて大丈夫。そんな思いを伝えたいと思ったんです」

 『Dear My Body 〜親愛なる私のカラダ〜』というイベントの写真展で、人気写真家が、一般募集で選ばれた人のヌード撮影を行うもの。

たくさんの人の目にふれると思うと躊躇もありましたが、でも“今の自分だからできる”といった気持ちもありました。撮影も楽しかったし、展示会では“きれいでしたよ”“実は私も……”とか話しかけられることもあって、貴重な体験になりました

 病気前では考えられない行動力を発揮する一方、それでも前を向けない日もある。

乳房再建をしたお客様を接客した時に、すごくきれいで“いいなぁ”と思った自分がいました。やっぱりなくした左胸を欲しいと思っている自分がいることに気づいて。時には気持ちに折り合いがつかないこともありますが、そんな自分も含めて受け入れていきたいと思っています

 休日には海へ行ったり新しい趣味の御朱印集めに出かけることもある。shantiさんは乳がんを患う前と同じように人生を楽しんでいる。

乳がんになってよかった、とはもちろん思えません。でも、乳がんという経験をしたことで、当たり前だと思っていた日常のありがたさを知ることができました。何よりも、自己肯定感が低かった私の中に、自分の身体を愛したい、大切にしたいという気持ちが芽生えてきました。いつも心が平穏でいられることが私にとっての幸せだと気づけたことに感謝しています

取材・文/熊谷あづさ

shantiさん 1970年、愛知県生まれ。アパレル勤務を経て10年ほど前から百貨店に勤務。趣味は20代のころから続けているボディボードと最近始めた御朱印集め。好きな食べ物はアイスクリーム。