なるべく多く稼ぐため夜勤に。ひとり泣きながら奔走する夜も

 びょうさんが就いたのは「夜専(夜勤専従)」と呼ばれる介護職。その名のとおり夜勤のみを仕事とし、必要な資格を取得して臨んだ。

「最初は資格がいることすらも知らずに志望しました。父の介護で下の世話は苦ではなかったですし、夜専なら日中の時間を自由に使えます。何より夜専のほうが稼げるんです。

 たくさん稼げば不安は払拭され、贅沢もできますからね。実際、夜専で2、3の介護施設を掛け持ちし、月に50万、60万稼ぐ人もいます」

 だが夜専の仕事は決して楽ではない。むしろ過酷極まりない。びょうさんはこれまで3つの介護施設で夜専を務め、つらい思いを何度も経験している。

「認知症患者の暴言、暴力に心をえぐられる。噛まれたり、杖で叩かれたり、セクハラ発言も珍しくない。それでも結局は我慢するしかなく、離職者が後を絶たない職場なんです。

 2か所目の介護施設は30人の入居者に夜勤は私ひとりでした。泣きながら奔走し、体制変更も聞き入れてもらえない。

 ワンオペ夜勤中に転倒し気を失ったことがあったんですが、同様の状況で亡くなった女性のニュースを見て、もう限界と思い、今年の2月に今の職場に転職しました」

元気でいられるあと10年を大切に

 人生100年時代といわれ、超高齢社会に突入している。しかしびょうさんはそう捉えていない。

「介護の現場にいると、60代くらいで脳梗塞などを発症する人をよく目にします。人生100年に現実感はなく、50代のいまから実際に身体の自由が利くのはあと10年程度と痛感しますね。だからこそ、好きなことを早いうちに楽しみたいと思っています

 夜勤や母親の介護の一方、旅行やドライブ、美術鑑賞など多くの趣味をひとりで満喫。誰かのためではなく、自分のために存分に時間を費やせる喜びを味わっている。

「本音を言えば、遊びより仕事に楽しさを見いだしたいです。お金がないと遊べないですが、仕事ならお金はいらず経験を積めるので。介護職がなくなった場合の次なる職として、タクシーの女性運転手はどうかなと考えています」