目次
Page 1
ー アイドル歌手としては行き詰まっていた
Page 2
ー 世間とのギャップでメンタルが荒れていた
Page 3
ー コロナ禍でうつっぽい状態に

 芸能生活40周年を迎える芳本美代子さん。16歳で歌手としてデビューしてから、俳優、演出家としても活躍。かつては「現場から逃げたい」「無理!」と涙した日も多かったという。それでも、どんな状況下でも何か発見がある、成長できる、楽しまなきゃ損―そう気がついてから「みっちょん」はどんどん進化していった。

アイドル歌手としては行き詰まっていた

「本当に私でいいの?」と、大学教授のオファーを受けた際に感じたという芳本さんは、1年間の授業を終え、この春には新入生を迎える。教えているのは「身体表現」

 表情や身体の動きで感情を表すというのがテーマだが、今どきの学生たちにある引っかかりを覚えたという。

コロナ禍でマスク生活だったり、ソーシャルディスタンスもあったからでしょうが、表情が乏しかったり、ボディランゲージが取れない子が多いんですね。自分を表現できなくて、内にこもるからメンタルも弱い。これは私の教えている学生だけでなく、もっと下の子どもたちにもいえることで、とっても大きな社会問題だと思うんですよね

 元気で明るくて、ちょっとひょうきんな“みっちょん”のイメージが強い芳本さん。しかし、そこで目にしたのは芸能界で積んだキャリアを活かし、生徒に真摯に向き合う教授としての姿だった。

この学校で10代の終わりから20歳になって、社会に出たときに、ここで学んだことを思い出して、自分を主張できるようになってほしいと思って教壇に立っています

16歳で石川秀美の妹分としてデビューしたころ
16歳で石川秀美の妹分としてデビューしたころ

 故郷の山口県から歌手を目指して上京したのは15歳のとき。翌年にはアイドルデビューを果たす。同期に南野陽子、森口博子、中山美穂、故・本田美奈子.さんなど錚々たる顔ぶれが。でもアイドル時代は長くは続かなかった。

「20歳前後はすごく悩んだ。歌がめちゃくちゃ売れたわけでも、超個性的でもないし。“みっちょん”の認知度は高かったけれど、アイドル歌手としては、行き詰まっていた。このままみっちょんでいいのかな?って。同じころに学生時代の友達が社会人になったり、専門学校に進んだりして変わっていくのに、私はどうしたらいいのかわからなくて、それで、グレるという行動に。周りのアドバイスにもわざと、歯向かったりして