時代に合わせ変移する手口

 同じく電話をきっかけとするのが「還付金詐欺」。だいぶ周知され減ってきていると思いきや、コロナ禍以降、増加傾向に。2022年度は過去5年間で最高の相談件数を記録している。

「コロナ禍のあいだ、行政の対策として国民に給付金が支給されました。その前例から、役所などを騙った還付金の知らせを容易に信じてしまうことが考えられます」(藤田さん)

 税金や保険料などの還付を誘い文句に、銀行のATMに誘導してお金を振り込ませる。この従来の手口のほか、新たなやり口も見られる。

「インターネットバンキングを使うパターンです。本人に振り込ませるだけでなく、『インターネットバンキングで手続きする』と騙り、口座番号や暗証番号などの個人情報を電話口から聞き出すのです」(藤田さん)

 また、消費者被害に強い伊藤建弁護士は手口の多様化に警鐘を鳴らす。

「最近の犯人グループは、人目につきにくいATMを把握しています。未然防止されにくいATMに誘導し、お金を騙し取ろうとするのです」 

 そもそも市役所などの公的な機関が、税金などの還付を電話で伝えることはない。「お金が返ってくる」との電話は即、詐欺と判断できる。

「個人情報は絶対に伝えないこと。長々と相手の話を聞いてしまうと、巧妙に信じ込まされてしまうので、すぐに電話を切るようにしてください」(藤田さん)