次男も息子夫婦も孫も「全員自分のもの」

それでは、過干渉と愛情深いお姑さんの違いは何でしょうか? それは、自分のポジションを理解しているかどうかだと思います。婚姻届けが受理されると、親の戸籍から抜けて、新しい戸籍が作られます。このことでもわかるとおり、結婚したら、たとえ子どもであっても別世帯で、北斗はいわばセカンド家族という立ち位置になります。世帯が別なのだから、縁を切れ!という意味ではなく、息子夫婦は原則的に自分たちのことは自分で決めて実行しなければなりません。子育ては2人で協力し、夫(妻)が体調を崩したときに助けるのは妻(夫)です。夫(妻)の誕生日をどう過ごすのか、子どもの初節句をどうするのかを決めるのは息子夫婦です。2人ではどうにもならないとき、助けてほしいの一声があったときに初めてかけつけるのがセカンド家族であり、何も言われていないのに「彼らは今、きっと困っているだろう」と決めつけて先回りするのは、過干渉だと思います。

しかし、北斗のブログを見ていると、お孫さんのことを「さすが佐々木家の子」と書いたり、ハワイで過ごしている最中に「間も無くまた家族が離れ離れになりますが」(原文ママ)と書いたりと、次男も息子夫婦も孫も「全員自分のもの」であると思っているふしが伺えます。

このように思っているとしたら、「自分の思うように動かしたい、言うことを聞かせたい」と思うようになるでしょう。北斗も佐々木家の嫁としてよくも悪くもかまわれてきた、というのなら、そういう方針のご家庭なのねとまだ理解できるのですが、北斗は実家の隣に家を建てているくらいですから、あてはまらない。一言で言ってしまうと、息子を手離したくないんだろうなと思います。

基本的に凛をほめるスタンスの北斗ですが、プロポーズの際、「この子はおしゃれな服を持っていないだろうな」と勝手に決めつけて服を用意したり、「うちの嫁は料理ができない」と発言したり、心のどこかでは「息子をまかせておけない」と思っているのではないでしょうか。なので「できないんだから、母ちゃんがやってやるよ」と勝手に先回りして、2人の領域に入り込んでいる気がします。

家族の世話をまめまめしく焼く母というのは、日本社会では好意的に受け止められるでしょうが、実は家族の世話を焼きすぎることは、依存症の一つと言われています。母親が世話を焼きすぎると、子どもは自立できなくなります。なので、母親は「しょうがないなぁ」とまた過剰に世話を焼くという悪循環が続くのです。北斗かそうだと決めつけるつもりはありませんが、あまり干渉していると夫婦仲にヒビが入る可能性もありますし、北斗のタレントとしての好感度にも影響があるかもしれません。愛と支配は紙一重です。ヤバくない程度の愛でお願いしたいです。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」