取材を進めると、社会復帰した木下容疑者は昨年秋ごろ、根本瑛貴として茨城県内の別の総合病院に転職し、外科医として働いていた。

 この病院の関係者は明かす。

「根本瑛貴は当院の外科医ですが、突然出勤しなくなり現在は働いていません。のちに逮捕のニュースを知り、“そういうことだったのか”とわかった次第です。われわれが知っているのはあくまで根本医師であり、木下という名字はまったく知りません。今後についてはこれから検討することになります。職場復帰? それはないと思います」

 裁判所のホームページによると、正当な事由があれば家庭裁判所の許可を得て戸籍名を変更できる。名前を変えないと社会生活に支障をきたす場合などに限られ、個人的趣味や信仰上の希望などでは変えられない。

 改名した根本容疑者は茨城県を離れ、埼玉県久喜市に転居。家賃約10万円の賃貸マンションで暮らしていた。独身のひとり暮らしとみられる。

全日本まくら投げ大会にエントリーして優勝

「大学時代はキラキラしたキャンパスライフでした。有名私学から筑波大医学部に現役合格すると、テニス部で汗を流し、仲間と全日本まくら投げ大会にエントリーして優勝するなど充実していた様子がうかがえます。医師になってからは茨城県内の社会人テニスサークルに所属し、大会で優勝することもあったようです」(前出・盗撮事件を取材した記者)

キャンパスライフをおう歌する根本瑛貴容疑者(本人SNSより)
キャンパスライフをおう歌する根本瑛貴容疑者(本人SNSより)
【写真】キラキラしたキャンパスライフを過ごす根本容疑者

 不起訴処分の後、昨年11月には、埼玉県内のテニスクラブが主催する大会でプロ・アマなど出場資格に制限のない男子シングルス・オープンで優勝し、

《足をつらずにようやく勝てました! 埼玉の全オープン制覇目指します!》

 とコメント。逮捕の十数日前にも再び優勝し、《力を出し切れました!》と自画自賛していた。

 甘いマスクでテニスのうまい外科医─。その“仮面”の下に隠された素顔を追うため茨城県内の実家を訪ねると、家はすでに売却され家族は転居したあとだった。

「盗撮事件後に自宅を売りに出し、昨年春ごろ、ご両親は人知れず引っ越していきました。それはもう気の毒でした。息子さんが改名したのは知りませんでしたし、また別のわいせつ事件で逮捕されるとは思いもしませんでした」(近所の女性)

 地元住民によると、少年時代の容疑者は「勉強のできるおとなしい男の子」だった。

「母親は“子どもが医者になりたいと言っているから”と小学生のころから塾に通わせていました。あの子も一生懸命に勉強して有名中学に合格し、医者になる夢をかなえたんです。頭はよかったけど目立つタイプではありませんでした」(容疑者を知る住民)

 卑劣な事件で目立ってどうするのか。医師の立場を利用して犯行に使った睡眠剤を入手した可能性も視野に入れ捜査しているという。