上皇さまが綴った文書

当時10歳の眞子さん、6歳の佳子さまを中心に仲睦まじい秋篠宮家(2001年11月)
当時10歳の眞子さん、6歳の佳子さまを中心に仲睦まじい秋篠宮家(2001年11月)
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 また1999年12月、誕生日に際しての宮内記者会への文書回答の中で上皇さま(当時は天皇陛下)は、次のように綴った。

《私にとって家庭は心の平安を覚える場であり、務めを果たすための新たな力を与えてくれる場でありました。また、実際に家族と生活を共にすることによって、いくらかでも人々やその家族に対する理解を深めることができたと思います》

 秋篠宮さまの両親である上皇ご夫妻はそれまでの皇室の慣習を改め、天皇陛下秋篠宮さま、それに妹の黒田清子さんの、3人の子どもたちとひとつ屋根の下で暮らし、大切に育て上げた。このことが昭和天皇、香淳皇后の時代の育児とは大きく異なる。子どもたちと同居し、親の手元で育てるという上皇ご夫妻の方針を、秋篠宮ご夫妻はしっかり受け継いでいる。その上で、子どもたちが「おのおのの持っている個性をできるだけ自由に伸ば(そうと)」している。

「家族という身近なものの気持ちを十分に理解することによって、初めて(略)国民の気持ちを実感して理解できるのではないかと思っています。子どもたちに対しても家庭を大切にするように教えてきたつもりです」(『新天皇家の自画像』文春文庫)。これは、1984年4月の会見で上皇さまが語った言葉である。どんなときも国民と苦楽を共にするという皇室の理想的なあり方、それを実現するためにも、まずは、家族を愛する

──身近にいる家族を思う気持ちが、ひいては、国民を理解する心に通じるのだという教えは説得力を持つ。

 自由に個性を伸ばし佳(よ)い子に育った佳子さまは、国民と苦楽を共にするという理想に向けて一歩ずつ歩みを進めていく。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など