遺産が少なくても相続税申告は必要?
多額の財産を相続する際にかかる相続税。平成27年に法改正があり、相続税がかかる水準が引き下げられた。「うちも相続税を払わないとダメ?」と心配する声が、橘さんのもとにも寄せられているという。
「相続税がかからない基準になる基礎控除額は法定相続人の数によって異なりますが、例えば、相続人が妻と子3人の計4人なら5400万円です。これをオーバーするケースはそう多くないのでは」
実際、法改正後でも相続税がかけられているのは全体の10%程度。多くの人は、相続税の支払いも申告も必要ない。
「ただ、都市部に持ち家がある場合は、評価額が高くなることもあり、基礎控除額を超えてしまう可能性が。その場合は、さまざまな特例を利用すれば、相続税を払わずにすむことがあります。そうした特例の適用を受ける際は、相続税の申告が必要です」
相続をめぐるトラブルを防ぐには、基本的な知識を知ったうえで、まずは親子で話し合うことが重要。後々自分が損しないために、この年末はお金について話す時間を設けてみては。
知っておくべき親の遺産はコレ!
預貯金・株・投資信託
それに伴い、通帳、印鑑、キャッシュカード、証券口座の番号などと、それぞれの残高も知っておきたい
生命保険・個人年金
保険会社 契約内容も確認
不動産
相続税がかかるか知るため、不動産の評価額を把握したいときは以下の方法で計算。実際に売買する際の価格とは異なるので注意。
・土地…国税庁のサイトに載っている実家の住所の路線価×面積
・建物…固定資産税の通知書に載っている固定資産税評価額
貴金属・美術品など
借金・ローン
負の遺産である借金やローンも、借入先と残高を明確にしておくといい
教えてくれたのは橘 慶太さん
税理士。円満相続税理士法人代表として、相続税の相談実績は5000件を超える。著書『ぶっちゃけ相続』(ダイヤモンド社)は、シリーズ19万部を突破。YouTube「円満相続ちゃんねる」の登録者数は8万6000人超。
<取材・文/鷺島鈴香>