10年前にブラジルを公式訪問の秋篠宮ご夫妻

秋篠宮ご一家は、来日したブラジルの日本語学校に通う生徒たちとの交流を続け、紀子さまと佳子さまも参加(2023年7月24日)写真/宮内庁提供
秋篠宮ご一家は、来日したブラジルの日本語学校に通う生徒たちとの交流を続け、紀子さまと佳子さまも参加(2023年7月24日)写真/宮内庁提供
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 そして、今から10年前の'15年秋、秋篠宮ご夫妻は外交関係樹立120周年にあたり、ブラジルを公式訪問している。10月27日に日本を出発し、11月10日、帰国した。現地では大統領を表敬訪問し、記念式典や記念行事に出席。また、日系代表者と懇談し、ブラジル日本移民史料館を視察するなどして帰国したが、ご夫妻は次のような印象を発表している。

《文仁にとっては初の海外公式訪問となった1988年の日本人ブラジル移住80周年のとき以来27年ぶり、紀子は初めての訪問となりました。(中略)多くの日系の方々と話をしていると(中略)私たちが日々の暮らしの中であまり意識していない「日本」を感じることがたびたびにありました。そして、遠く離れたこの地において、自分たち、もしくは両親・祖父母の世代の故郷の記憶が残り、継承されていることに改めて気づきました。

 また、日系の若い世代の人たちと話をする機会をもつこともできました。日本とブラジルとの良好な関係が、今後も続き、さらに増進していく上で、次世代の人々が、両国の架け橋となってくれることが極めて大切なことだと思います》

 そして、ご夫妻は、《これからも永く私たちの記憶に残るもの》として、酸性土壌で不毛地帯といわれたセラードを一大農業地帯へと改良した日伯共同プロジェクトや環境先進都市で、パラナマツが独特の景観をつくり出しているパラナ州の州都クリチーバ、アマゾン川やその流域の人たちの暮らしがよく表れているベレンの市場、それに、ブラジルが誇る世界屈指の湿原であるパンタナールとそこに暮らす牧童たちの文化や貴重な生態系などを挙げている。

 このようにブラジルは、天皇陛下や秋篠宮さまにとって思い出に残る国であり、皇室とは密接な関係にある。佳子さまの外国公式訪問は、昨年のギリシャに続き4回目となる。

 まじめで努力家の佳子さまは、どの国でも訪れる前に、その国の歴史や伝統、文化、言語、それに人々の暮らしぶりなどを一生懸命に勉強している。おそらく、今頃は専門家などからのレクチャーもかなり進みブラジルについて詳しく学ぶことで、訪問への自信を深めているはずだ。現地では、手話を通じた交流も楽しみだ。何より、佳子さまの優しい微笑みが多くのブラジルの人たちを魅了することだろう。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に2025年4月刊行の『悠仁さま』(講談社)、『秋篠宮』(小学館)など