海外の乳がん経験者の声を聞いて手術を決断

手術前日に入院。「いつもデーブが付き添ってくれて、私よりも病状を理解してくれて安心感がありました」
手術前日に入院。「いつもデーブが付き添ってくれて、私よりも病状を理解してくれて安心感がありました」
【写真】73歳とは思えないスタイルの京子さんと夫の2ショット

 周囲からの紹介もあって、病院選びは3つの選択肢があったが、夫婦で話し合い、通院のしやすさから、家からいちばん近い大学病院に決めた。9月に入り、細胞を採取して調べる細胞診などで検査。右胸はステージ2、左胸はステージ0の「HER2陽性乳がん」と診断された。

 HER2陽性乳がんは、ほかのタイプの乳がんと比べて進行が速く、転移や再発のリスクが高いといわれる。

「最初に受診した乳腺外科で左胸にも影が見えると言われていたので、少し気になっていました。大学病院に移ったあと、担当医にお願いして左胸も再検査をしてもらったんです。すると、できたばかりのがんが見つかって。それでも転移はなかったので、デーブも私もほっとしました」

 ステージ0の場合、乳房の部分切除の選択肢もあるが、京子さんは主治医と相談のうえ、両胸を全摘出することを決めた。女性として胸を失うとなれば、決断に迷う人も多いが、京子さんは違った。

「胸をとることに大きな迷いはありませんでした。“がん=悪いもの”だと捉えていたので、『悪いものがあるならとってしまおう』と単純に考えていて(笑)。身体の中に悪いものがあるほうが嫌だったので、両胸のがんがなくなって、むしろスッキリ! 手術が終わって気持ちが晴れ晴れしましたね」

 両胸全摘出を躊躇なく決断できたのは、「デーブの情報収集力のおかげでもある」と話す。

「アメリカは、日本より乳がんになる人が多いんです。私自身も調べましたが、デーブがアメリカの知人にたくさん連絡をしてくれたんです。乳がんの治療をした方々から、手術と治療方法やその後の生活について聞いたところ、『少しでも再発の疑いがあるなら全部とったほうがいい』と。それを聞いていたので、ためらいはありませんでした。命のほうが大事ですから」

 乳がんにより乳房を部分切除あるいは全摘出したあとは、乳房を再構築する乳房再建術をすることもできる。

「先生から、乳房再建術についてお話がありましたが、私は人工的なものを身体に入れるのはなんとなく嫌な気がして。生活にも支障はなさそうだったので、再建はしないことに決めました」