そしてブームといえば、これを超えるものなし。'83年『おしん』の小林綾子(52)が、249票(約半数!)で第1位に。
NHKに視聴者からたくさんのお米が届く
「つらく苦しい役。涙を誘う演技が素晴らしかった」(高知県・64歳・女性)、「迫真の演技が今でも忘れられません」(神奈川県・62歳・男性)、「快演! 朝ドラに残る金字塔」(兵庫県・69歳・男性)、「彼女を超える方はいまだにいないように感じます」(北海道・57歳・男性)、「社会現象まで巻き起こした迫真の演技」(東京都・64歳・男性)と、コメントは称賛の嵐。
平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%はテレビドラマ史上、現在でも1位。「二度と破られることはない記録でしょう」とカトリーヌさんも舌を巻く。
「世界68の国・地域で放送されイランでは最高視聴率90%。流行語になった“オシンドローム”は、もともとはアメリカの記者がつけた言葉だったり、世界で社会現象になりました」
本作は1年間の放送で、成年期を田中裕子(70)、中・老年期を故・乙羽信子さんが演じた。
「米1俵と引き換えに売られてしまうシーンは、特に印象深いですね。冬の最上川、雪の中で6時間かけて撮影したそう。小林さんのほっぺが真っ赤なんですけど、メイクじゃなくて、寒くてリアルに真っ赤だったんですよね」
また、このシーンの放送後には、NHKに視聴者からたくさんのお米が届いたという。
「“おしんに食べさせてあげてください”って。今ならありえないけれど、ブラウン管の中のことをわがことのようにみんなが考えていた時代。テレビにとって、すごく幸せな時代だったんじゃないかと思います」
貧しさの中、明治、大正、昭和を生き抜いたおしん。最後は穏やかな微笑みで終わる。
「朝ドラは、ほぼハッピーエンド。『おしん』は特に“あの子が幸せになってよかった”と思える物語だったのかなと」

ベスト5以外でカトリーヌさんの印象に残っているのは、『舞いあがれ!』('22年後期)の浅田芭路(11)と、『ちむどんどん』('22年前期)の稲垣来泉(14)。
「『舞いあがれ!』は五島列島、『ちむどんどん』は沖縄が舞台で、とても美しかったんです。朝ドラは話が進むにつれてセットでの撮影が多くなりがちですが、子ども時代はロケがふんだん。愛らしい子役ときれいな風景に心をつかまれるんですよね。序盤に印象的なシーンが多いのは、それが一因かも」
'25年後期『ばけばけ』で主人公の少女期を演じる子役は、福地美晴(10)と発表。どんな熱演を見せてくれるのか、今から楽しみだ。
カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など