大先輩の言葉

 バーでは松尾自身がカウンターに立って接客をしており、

『南海キャンディーズ』山ちゃん(山里亮太)とか、『さらば青春の光』東ブクロとか、芸人時代に飲んだことがない人も来てくれています。今になって、昔より芸人の交友関係が広がっている気がします」

 バー以外の活動はというと、

「基本的に、ご依頼いただいた仕事は“NGなし”で受けるようにしています。例えば、沖縄の情報番組に出演したり、イベントのキャスティングなどもしています。“配役をご希望される方が出演NGだったら、僕が出ますよ”って(笑)」

 芸人のセカンドキャリア支援にも取り組んでおり、

「プログラミングの勉強や起業のサポートなどを行っています。ただ、まだ頼ってくれる芸人が少ないので、まずは実績を残したいですね」

自らバーカウンターに立ち、客と談笑しながら酒を提供している元ザブングルの松尾陽介
自らバーカウンターに立ち、客と談笑しながら酒を提供している元ザブングルの松尾陽介
【写真】沖縄のバーで自らカウンターに立つ『ガチ王』こと元ザブングル松尾

 では、芸人への未練は?

「もしも芸人になっていなかったら、絶対に人生つまらなかっただろうなと思います。でも、もう十分楽しんだので、未練はまったくないです」

 ただ、その後の人生への不安はあったという。

「辞める前に、『ネプチューン』堀内健さんに“辞めたらみんな離れていくから気をつけて”と言われたんです。もしかしたら、過去にそういう人たちを見てきたのかもしれません。それを聞いて、ちょっと怖いなと思ってしまって。でも、僕の場合は辞めてからこれまで関わった人たちがどんどん寄ってきてくれました。うれしい誤算でしたね」

 その結果、充実した日々を送っているそうで、

この前、今田耕司さんが沖縄に来てくれたときに“おまえ、幸せそうだな”と言われて。そのときに改めて“人からそう見えるということは、僕は幸せなんだな”と実感しました。この先も、ただただ死ぬまで楽しく生きていきたいですね。“芸人辞めてよかった!”と言える人生にするために辞めたので!」

 元相方の加藤は、現在の松尾を見て“悔しいです!”と思っているかも?