たとえるならばガラケーとスマホ?
新旧を食べ比べて改めて感想を聞いてみると――。
「例えると、昔のガラケーで撮った写真と今のスマホで撮った写真くらい、ビックリするほど違いがあって驚きました。日本人は酸味が苦手な人が多い印象なので、現在のもののほうが万人受けする気はしますが、ヨーグルトらしさのアイデンティティとして、酸味や爽やかさを残しているところが明治さんだなと思いました。
初代のほうはより酸味が際立っていますが、これがたまらない! という方も一定数いると思います。発売の予定があるならば、私はその日の気分で、新旧どちらも味わいたいです。料理に使ったらどうなるのかも気になります」
残念ながら今のところ再現商品の発売の予定はないようだが、今回の食べ比べを通して、メーカーのプレーンヨーグルトへの愛を感じた、と向井さん。
「『明治ブルガリアヨーグルト』は、単にフレイバーなど原料の“足し引き”で変化を出すのではなく、菌の種類や発酵時間、ミルクの殺菌温度や脂肪球の細かさを変えるなどといったマニアックな改良を重ねているんです。細かな調整で元々のポテンシャルを引き出して進化させて、プレーンヨーグルトの歴史を作っているのはすごいなと思います」
普段、何げなく食べているヨーグルトにも、知られざる歴史や、メーカーの人々のたゆまぬ熱意や努力が隠れている。年に1度の記念日に、そんな背景に思いを巡らせてみるのもいいかもしれない。

お話を伺ったのは……向井智香さん●ヨーグルトマニア。2011年にギリシャヨーグルトを食べたことをきっかけにヨーグルトの魅力にハマり、現在は毎日1kg以上のヨーグルトを食べ、SNSで味の感想をはじめ商品レビューを発信。一般社団法人ヨグネット代表理事。著書に『ヨーグルトの本』(エムディーエヌコーポレーション)が。
撮影/佐藤靖彦(向井さん) 取材・文/荒木睦美 写真協力/株式会社 明治(ヨーグルト)