仕事にも生活にも影響が及んだ

 60代半ばには、講演会の会場で客席に落ちてしまったことがあるという。

「股関節の痛みで脚を曲げられなくなってしまってからは、床にあるものを拾うときは脚を伸ばしたまま、お辞儀をするように上半身を折り曲げていたんです。裸足ならこの動きで床のものを拾えるんですけど、そのときの靴がローヒールだったので、床に置かれたマイクをつかもうと上半身を折り曲げた瞬間にバランスを崩してしまい、客席に転げ落ちちゃって。幸いなことにケガはなく、笑顔で立ち上がり、お客様に安心してもらったんですが(笑)」

 周囲からはさまざまなアドバイスがあったという。

「脚の筋力が足りないのではないかと言われて運動をすすめられ、ヨガ教室に通っていたこともありますし、寝床が硬いほうがいいと言われて板の上で眠っていた時期もあります。結果的にいろいろな情報に振り回されることになってしまいました」

 将来歩けなくなるのではないかと危機感を覚えた岡崎さんは、人工股関節の手術に関する情報を集め始める。2022年6月には専門医の診察を受け、両脚ともに変形性股関節症と診断された。

「このまま“動けないおばあさん”になるのが怖かったので、やっと診断がついたことに正直、安心しました。先生にエックス線画像を見せてもらったら、丸いはずの大腿骨の先が四角くなって骨盤にぶつかっているのが素人目にもわかり、人工股関節に置き換える手術をすぐに受けることを決めたんです」

人生初の入院が人工股関節置換術だった岡崎友紀さん。「病院の提出書類が多いのにびっくり。署名するのが大変でした」
人生初の入院が人工股関節置換術だった岡崎友紀さん。「病院の提出書類が多いのにびっくり。署名するのが大変でした」
【写真】手術の翌日からリハビリを開始した岡崎さん

 そして2022年8月末に右股関節、12月に左股関節の人工股関節置換術を受けた。

「最近は、両脚を一度に手術するケースも多いようなんです。私の場合、先生が『両脚を一度に人工股関節にすると両方に負担がかかってしまうので、片方ずつのほうがラクですよ』とおっしゃったので、時期をずらして手術してもらうことにしたんです」

 岡崎さんは術後、医師から次のような話を聞いた。

「メスを入れた瞬間、骨から血が噴き出したそうで、先生には『相当痛かったんだろうね』と言われました。私自身は麻酔で眠っている間に手術が終わり、手術の傷の痛みもほぼなし。異物感もなく、片脚だけでも鈍痛が消えたのは、ありがたかったです」