記録的な早さでの退院

 手術翌日からリハビリが始まり、車いすから歩行器、両手でステッキをついての歩行を経て、片手でステッキをついた歩行ができるようになって退院となった。

「身体はだいぶ硬くなっていたけれど、バレエ歴も長かったし、ストレッチはお手のものだから、“リハビリなんて簡単”と思っていたんです。でも、実際のリハビリは想像とはまったく違って。長い間、常に鈍痛があり、歩くのもひと苦労で、身体をまっすぐにできない状態が続いていましたから、筋肉の一部がほとんど使われずに衰えていたんです。まずは股関節まわりの固まった筋肉を刺激するための小さな動きの運動から始め、右脚の術後は9日、左脚の術後は7日で片手のステッキで歩行ができるようになり、退院となりました」

 先生からは「記録的な早さでの退院」と驚かれたそう。

「とても信頼できる先生に主治医となっていただけたことは幸運でしたね。リハビリでは、孫くらいの年齢の理学療法士さんのおっしゃることをよ~く聞いて、“なるほど~”と納得しながら楽しんで取り組むようにしました」

 退院後もリハビリを重ね、今ではサクサクと歩くことができるようになったという岡崎さん。当たり前の動きができる喜びを噛みしめながら過ごしている。

「普通に立ったり歩いたりできるようになり、人工股関節に置き換える手術を受けてよかったと思っています。身体の中のパーツが新品に部品交換されたおかげで、たくさんの動きが蘇りました」

 人工股関節になると、脱臼や摩耗を防ぐため、日常生活で避けるべきことがある。

「転ぶと人工股関節を入れ換えることになると言われているので、転ばないように気をつけています。また、脚をクロスしたり、横座りをするのはよくないんですって。以前のように踊ることはできないのですが、1年ほど前からフラダンスを始め、自分のペースで楽しく身体を動かせるようになりました」

 変形性股関節症を経て、岡崎さんは改めて気づいたことがあるという。

「私は誰かに笑顔になってもらうことを意識して生きているということを再確認しました。人工股関節に置き換える手術のおかげで脚だけは30年くらい若返ったと思ってます(笑)。これからも皆様に笑顔になっていただけるよう、活動していきたいですね」

おかざき・ゆき 歌手、俳優。8歳で子役デビューし、TBS系列テレビドラマ『おくさまは18歳』をはじめとする主演シリーズが高視聴率を記録。7月12日には東京・汐留BLUE MOOD(中央区築地5-6-10)にて「YUKI OKAZAKI BIRTHDAY LIVE」を開催。

取材・文/熊谷あづさ 撮影/山田智絵