目次
Page 1
ー 食中毒の原因は1つじゃない
Page 2
ー お弁当はバランや使い捨てカップを活用
Page 3
ー タオルは家族で共有しない

 

 気温が上がり湿度も高くなる6月は一年で最も食中毒が発生する。本格的に暑くなってくると保冷剤などで対策をとるが、この時季は中途半端で食材への温度管理が甘くなるのも一因だ。「つけない」「増やさない」「やっつける」…細菌対策の3原則の実践を。

食中毒の原因は1つじゃない

 梅雨から夏にかけて、気温、湿度の上昇とともに高まるのが食中毒のリスク。食中毒の原因は一つではなく、家庭での何げない習慣の中に、実は危険が潜んでいる場合もある。

 これからの季節に覚えておきたい食中毒の予防ポイントを、感染症を専門とする内科医の田中雅之先生と、食事指導を行う管理栄養士の三城円さんに話を伺った

「食中毒の主な原因には、ウイルス性、細菌性、動物や植物の自然毒、寄生虫などがあります。ノロウイルスなどのウイルス性の食中毒は乾燥した寒い時季に発生しやすいですが、カンピロバクター、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌などの細菌は、高温多湿の環境で繁殖しやすいため、梅雨から夏場は注意が必要です」(田中先生)

 加熱不十分な生肉で食中毒を引き起こすカンピロバクターや腸管出血性大腸菌О157はよく知られる食中毒だが「生肉を食べなきゃ大丈夫、加熱すれば感染しない」

 というワケではない。

田中雅之さん
田中雅之さん

時間をかけて加熱しているカレーやシチューなどの煮込み料理にも食中毒リスクがある。

「よく“カレーは一晩寝かせたほうがおいしい”と言いますが、実は室内で数時間放置しているだけで、ウェルシュ菌という細菌から発生する毒素が増殖し、食中毒の原因に。

 また、黄色ブドウ球菌は人の手指から、食品が菌に汚染されるため、おにぎりやサンドイッチなど、手で触れることの多い調理法は、感染リスクが高まるので調理用の使い捨て手袋の使用をおすすめします」(田中先生)

 調理器具や調理環境にも感染リスクは潜んでいる。

特に生肉を扱うときは要注意。肉の入ったトレーのラップをはがすときに、その肉汁がはねて他の食材に菌が付着することがあり、肉を切った包丁やまな板で生野菜を切って、そこから菌が付着する場合も。調理器具は使うたびに洗うようにして、生肉用と生野菜用に分けてもいいと思います」(田中先生)