管理栄養士の三城さんは、
「煮込み料理は、調理後なるべく早く冷蔵や冷凍することで、感染リスクが減りますが、“すばやく冷ます”ことも大事です。まだ熱いうちに冷蔵庫や冷凍庫に入れると、冷えるまで時間がかかり、その間に菌が増殖したり、庫内の温度が上がって他の食品に悪影響を与えることがあります。
広げて冷ます、小分けにして容器に入れ、保冷剤を上に置き、粗熱を取ってから冷蔵、冷凍を。温め直しをする場合は、電子レンジは加熱にムラが生じやすいため、加熱後に一度かき混ぜて再加熱する、耐熱皿に広げてムラができないように加熱するなどの工夫をしましょう」
とアドバイス。
お弁当はバランや使い捨てカップを活用
調理から食べるまで、時間が空いてしまうお弁当は、特に注意が必要だ。
「水分が多い野菜は菌が繁殖しやすいため、加熱したほうが安全です。彩りによく使うミニトマトは洗ったあと、ヘタに水分がたまりやすいため、取るのがベター。レタスなどの葉野菜を仕切りに使う人もいますが、バランや使い捨てカップの活用を。
水分の多い具材とマヨネーズを組み合わせたポテトサラダやマカロニサラダは、よく冷ましてから詰めること。肉類、魚類はよく火を通し、半熟卵もサルモネラ菌が繁殖するリスクがあるため、中心までしっかりと火を通してください」(三城さん)
食材だけではなく、お弁当箱の殺菌も心がけたい。
「お弁当箱はきれいに洗ったとしても、目に見えない菌や油分、手指からの雑菌が残っている場合があります。使用前に熱湯をかけて自然乾燥したり、殺菌効果のあるお酢でサッと拭いてから詰めると安心です。特にふたのパッキン部分は雑菌がたまりやすい部分のため入念に」(三城さん)
原因やその人の体調によって発症までの時間や症状には差があるが、食中毒に感染すると24時間以内に吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱といった症状が見られる。
「下痢や嘔吐は細菌やウイルスを体外へ排出するための防御反応の一つなので、下痢止めや吐き気止めの薬を自己判断で服用するのはおすすめしません。症状が出ている間は無理に食事をとる必要はありませんが、脱水症状にならないように水分はとり、栄養ゼリーなどを摂取。
大抵の場合は数日で症状が治まりますが、体調不良が続く場合は医療機関を受診してください。まれに後遺症を発症する食中毒もあり、カンピロバクターは感染すると、手足のしびれや麻痺を引き起こす神経系の病気『ギラン・バレー症候群』を発症する場合があります」(田中先生)