「お粥」と「スープ」は体をいたわる食養生の基本
薬膳を手軽に、より効果的に生かす知恵として、齋藤さんが特にすすめているのが、「お粥」と「スープ」だ。
「お粥は、主食であるお米をやわらかく炊いて、消化をよくした養生食中の養生食。じつは食べものを胃から腸へと送ったり、消化したりするのは、体にとって重労働なんです。
ですから体調不良のときは、まず胃腸の負担を軽くしてあげることが第一。そのためには、まずお粥というわけです」(齋藤さん)
また「スープ」は、消化がよいのはもちろん、食材のエキスが煮出されて吸収がよくなっていることが何よりのメリットだ。
「漢方薬には煮出してのむものがあるように、スープはある意味、食材の薬膳パワーを生かす“煎じ薬”のようなものだといえるでしょう」(齋藤さん)
食材のうまみを生かした“おいしい薬膳”をプロデュース
「でも薬膳って、薬っぽくておいしくないのでは?」という先入観を持つ人も多いよう。そんなイメージを取り払って“おいしい薬膳”を提案しているのが、薬日本堂がプロデュースする薬膳レストラン「10ZEN」のシェフ、牧野秀明さんだ。
「食材がもつうまみやだしを生かせば、シンプルでもおいしく満足できる薬膳になります。たとえば、ほたてやあさり、えびなどの魚介類や鶏肉を使えば、それだけでだしになります。そのうまみを具に煮含めるためにも、お粥やスープは向いていますね」(牧野さん)
お粥は米をとがずにそのまま炊くのも牧野さんの工夫の一つ。糠の栄養が残るうえ、とろみのある、なめらかな仕上がりになる。牧野さんが「お粥はお米のポタージュ」というのもうなずける。
「お粥もスープも、食材の組み合わせで薬膳にアレンジしやすいのも魅力です。うちの店でも、血行促進や滋養強壮、美肌など、気になる悩みに合わせてメニューを選んでいただけるようにしているんですよ」(牧野さん)
また、店のサラダバーでは、クコの実やはと麦、ごま、アーモンドなどのトッピングが20種ほども並び、ラベルに書かれた効果を参考に選ぶことができる。クコの実は目の疲れに、はと麦はむくみによいとか。
「薬膳は日常的に食生活に生かすことが大切です。ご家庭でも、料理のトッピングから始めるのも、お手軽でおすすめですね」(牧野さん)
