彼らのデビューから約4年間、楽曲提供からラップ指導まで全面的にサポートを続けた。
m.c.A・Tだったらいい曲を作ってくれるんじゃないかと
「(DA PUMPの)事務所側から『ラップを入れないでくれ』と言われたことがあって。でもみんな僕がいなくなってもリリック(ラップの歌詞)を書けるくらいには教えてるし、彼らがラップをやりたがるんですよ(笑)。
それでサビにラップがないと成立しない曲『if…』を作ったんですが、カッコよかったので受け入れていただけました」
DA PUMPを国民的グループへと押し上げたが、ある日メンバーから申し出を受ける。
「正月にメンバーと会ったら、急にみんなが正座し始めたんですよ。『自分たちだけでやってみたいです』と。そのときにはもう100曲近く提供してたんで寂しい気持ちもありましたが、お互い休んでまた一緒にやろうと」
いったんはプロデュースを離れるも、メンバーから“師匠”と慕われる深い関係は続き、2009年から再度プロデュースに関わるようになった。その他にも数多くのアーティストに作品を提供してきたが、特に印象深いのがTRFの『Unite! The Night!』だという。
「当時、僕とSAMさんは同じマンションに住んでいたんですね。ある日、SAMさんが夜の10時に僕の部屋にやって来て『明日までに曲を作ってくれ』と。なんでも、『新曲の候補がいくつか届いたんだけど、どれもしっくりこない。m.c.A・Tだったらいい曲を作ってくれるんじゃないか』と(笑)。
『おいおい』って思いましたが、何時までにあればいいか聞いたら『13時』って。でも朝8時くらいにだいたい作って渡しました。SAMさんが気に入ってくれて、それがシングルになったのは本当に忘れられない経験ですね」
m.c.A・Tの創作意欲は、キャリアを重ねても衰えることはない。数年前、正月に愛犬とじゃれていて転倒し手を骨折。ギターが弾けない状況に陥ったが、サンプリングや新しい機材を駆使してアルバムを完成させた。
「手で弾けないからこそ、普段はやらないコード進行や音使いができて、結果的に新しいものが生まれました」
常に新しい音楽や機材、作曲法にアンテナを張り、「若者から教えてもらうのも面白い」と語る。
「AI作曲も試しましたが、よくできていると思います。ただ、そこからどう人間的な遊びやオリジナリティーを加えるかが重要ですよね」
近年も精力的に活動し、デビュー30周年記念のアナログ盤リリースや、『「ごきげんだぜっ!」〜Featuring ISSA(DA PUMP)&屋良朝幸』を発表。